掘削率98%「青崩峠トンネル」浜松~飯田むすぶ超難所 “敗北の歴史”まもなく克服

「日本最凶の山越え」のひとつが、いよいよ解消されようとしています。

一度断念した峠越えバイパスの歴史

 国土交通省 飯田国道事務所は2023年4月3日(月)、静岡・長野県境で工事が進められている「青崩峠トンネル」の掘削率が98%に達したと発表しました。昨年8月末の時点で掘削率は91%だったこのトンネル、貫通がいよいよ目前に迫っています。 このトンネルは、静岡県・愛知県と長野県南部の飯田地方を短絡し、新東名と中央道を南北につなぐ「三遠南信道」の一部で、2019年から掘削が始まっています。2023年3月末現在で、貫通間近のトンネルのほか、取り付け部の高架橋もかなり形が見えてきています。 南アルプス南端の深い山奥にある厳しい峠越えで、現道の国道152号も中心に狭隘・急勾配が長く続く、いわゆる”酷道”の状態です。かつて1994(平成6)年に、青崩峠の東側をバイパスする「草木トンネル」が開通しましたが、そこから北は断層帯などに阻まれ、ついに整備を断念。国道152号の一部となったこのトンネルの周辺には、高規格道路として全通を待っていた敷地や遺構が残り、”土木の敗北”の歴史を示す存在となっています。 その青崩峠に、ついに念願のトンネルが貫通間近となっています。通り抜け困難なこの峠をクリアすれば、飯田まではほぼ快適な道路。飯田市内でも、山地を一気に東西に貫く区間の工事が進行中です。浜松市と飯田市がまっすぐ結ばれ、東海地方~長野方面の新たなネットワークの誕生に期待がかかります。 ところで、青崩トンネルの全長は4998m。ギリギリ5000mにならない長さで設計されています。このような例は新名神の箕面トンネル(4997m)、中部横断道の樽峠トンネル(4999m)など各地で見ることができます。

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