「全英以来かな」渋野日向子が“大下剋上”の上位争いで感じた手応えと悔しさ

<LPGAドライブオン選手権 最終日◇26日◇スーパースティション・マウンテンGC(米アリゾナ州)◇6526ヤード・パー72>

渋野日向子にとって今季3戦目、そして自身米本土初戦となった「LPGAドライブオン選手権」。今季ツアー初の144人フルフィールド戦のなか、渋野はトップ10入りを果たして4日間を終えた。
初日を考えれば“まさか”の展開だった。「OBの一発が心にきた」と前半15番にドライバーでのティショットを右に大きく曲げてダブルボギーを叩くなど「74」で2オーバー・126位タイ発進。伸ばしあいのなかカットラインには4打ビハインドで、予選通過には黄信号がともったようにさえみえた。

だが、2日目になると“劇場”が開幕。8バーディを奪う米ツアー自己ベストタイの「64」でカットラインを3打上回って決勝ラウンド進出。そして3日目には後半すべて1パットを記録する「65」で、36ホールで合計『15打』縮めるトータル13アンダーまで伸ばし、7位タイに急浮上した。

そして3打差逆転をねらった最終日は6バーディ・3ボギーの「69」でフィニッシュ。「初日の位置から考えたら大下剋上ですよ」。7位タイで戦いを終えた。

トップ10で最終日を迎えたのは昨年10月の「LPGAメディヒール選手権」(3日目3位タイ→最終8位タイ)以来のこと。その時は5打差を追いかける位置からで前半1オーバーで折り返したことから「上を狙えるようなスタートではなかった」と振り返り、自身の感覚としてはV争いは「全英以来かな」。最終日最終組でメジャー2勝目をねらった昨年の「AIG女子オープン」(全英)が頭をよぎる。

全英の時は「いまいち伸ばしきれなった」とイーブンパーのプレーで、プレーオフに1打及ばず3位。その時に比べれば「(今回は)結果的に3アンダーだけど、伸びしろのある3アンダー」と60台でプレーできたことに成長を感じている。

「緊張感は若干あったかなと感じるけど、いままでよりはいいプレーといいますか。バーディもたくさん獲れたから、そのぶんボギーも打ったけど、いろいろ前向きになれるような内容だった」。9番で短いパーパットを決められず「ショック」を受けた場面もあったが、「まだ分かんないって思いながら回っていた」。最後の最後まで「自分にもチャンスがあると考えながら」できる限りのことを尽くし、精一杯攻め切った。

結果的には20アンダーが優勝スコアだったが、それを踏まえても「チャンスはあったと思う。短いのを外して、ウェッジでオーバーするとか、そのほかもろもろやっていますから(笑)」。特に初日2オーバーの出遅れが尾を引いたことになるが、「それがあったからこその3日間」と大まくりにもつながったと前向きに捉える。さらには「自分がいい位置にいるとき、緊張したときを、改めて冷静に見られた感じはある」と、緊張状態で出るクセも課題として知ることができた。

『勝ちたい』という強い想いを抱いて迎えた米2年目だが、前戦のアジア連戦では試行錯誤のさなかでもあり、それが遠く感じてしまうと話していた渋野。青木翔コーチとの再タッグで、このオフには大胆なスイング改造を行ったなかで、今季わずか3戦目で優勝を意識したプレーができたことは、一筋の明るい兆しが見え始めたともいえそうだ。

「今週は(優勝が)見える位置にいられたことが奇跡かもしれないけど(笑)。でも絶対チャンスはあると思いながら、日々を過ごしていこうと思います」。競技終了後、最終日のプレーを振り返ったときに開口一番に出てきた言葉は『悔しい』。その言葉が、渋野の『勝ちたい』という気持ちをさらに強くする。(文・笠井あかり)

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