パットのラインは聞かない! 人の意見によって迷いとストレスが生じる【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】

私もそうなのですが、普段グリーンが難しいコースでラウンドしていると、2打目、3打目からグリーンを観察する習慣がつきます。その結果、自分でパットのラインを判断するようになり、自律神経を乱す要因が減るのです。
■遠くからグリーン全体の傾斜を観察
 
もともと私の場合はプレーが早く、カップの向こうに回ったりボールの前にしゃがんだりするルーティンを取り入れていません。たとえ芝目の一本まで読み込んでボールの転がり方を100%把握したとしても、思ったとおりに打つ技術を持ち合わせていないことを自覚していますから、ライン読みに時間をかけることもキャディさんの意見を聞くことも滅多にありません。
 
ただ、それ以前にボールをラインの高い側には絶対乗せたくないので、初めてのコースではグリーンへ打つときだけ全体の傾斜を聞くようにしています。グリーンに乗ったときには大まかなラインをつかんでいますから、あとは距離感に集中するだけ。
 
緊張も迷いもストレスもないぶん自律神経のバランスが保たれ、落ち着いてしっかり打てます。それによってスムーズに手が動き、イメージどおりにストロークできて大ショートもオーバーもないのです。
 
■反対意見をいわれると混乱や迷いが生じる
 
そういうよい流れは、人にラインを聞くことで簡単に寸断されてしまいます。自分の読みと反対の意見をいわれたら混乱や迷いが生じますし、同じ意見だとしても強調されたらストレスになるからです。いずれも交感神経が高まって血流が悪くなることで指先の感覚が鈍り、距離感が狂ってしまいます。
 
より敏感な手の感覚を必要とする2メートル前後の大事なパットほど、その誤差は顕著でしょう。そうならないためにも遠くからグリーンを観察する習慣をつけ、普段から自分でラインを判断することが大事だと思います。
 
とはいえ、聞いてもいないのにキャディさんや人の読みが耳に入ってしまうこともあるでしょう。そういうときは他の人の打球がどう転がるかを見極めて決めることになりますが、最後まで迷ったときのために、あらかじめ対処法を用意しておくのも一考だと思いま
す。
 
例えば「人の意見がどうあれ自分の読みどおりに打つ」など、自分の取る行動を一つ決めておくことで気持ちに踏ん切りがついて集中できます。
 
一番大切なのは迷ったまま打たないこと。また、外したとしても、人のせいにしたり後悔して落ち込んだりしないようにすることです。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
 
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。

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