揺れる「電動キックボード先進国」 フランスでレンタルの是非を巡り住民投票 炎上する会社も

日本では2023年7月に低速のパーソナル・モビリティの交通ルールが改正され、電動キックボードがもっと身近になると言われていますが、一足早く普及しているパリはいま、その問題で揺れています。

電動キックボードレンタル廃止か否かで住民投票に

 日本では、2023年7月に電動キックボードなど低速のパーソナル・モビリティについて交通ルールが改正され、新区分「特定小型原動機付自転車」に分類される電動キックボードは16歳以上であれば免許不要で利用可能となります。

 これにより電動キックボードシェアリングサービスの利便性向上や、新たなビジネスチャンスが期待されていますが、電動キックボードの導入に熱心だったフランス・パリは、そのレンタルサービスの是非を巡り2023年4月3日に住民投票が実施される予定であるなど、大きく揺れています。 ことの発端は、2023年1月中旬、パリのアン・イダルゴ市長が、市と契約しているレンタルスクーターサービス事業者3社について、更新を望まない意向を表明したことです。最終的な存廃については住民投票で決するとしました。こうした状況になった背景には、様々な事情があるようです。 パリは、カーボンニュートラルなど環境負荷抑制の観点から、欧州でもいちはやく電動キックボードによるサービスが普及した都市のひとつ。2018年、エリア内であれば場所を選ばずに乗り捨てができるフリーフローティング型のサービスが開始され、約1万5000台の電動キックボードを毎月、約40万人が利用するなど、通勤や観光の交通手段として役立っています。しかし歩行者やクルマとの衝突事故などが増加し、問題を重く見たパリ市議会議員のモード・ゲイテル氏は、レンタル電動スクーターが街を走るせいで「歩行者は通りを渡るのも歩道を歩くのさえも怖がる」と批判しました。

事故だけではなくマナー問題も深刻! 日本も注意か?

 事故の多発以外にも、専用の駐車スペースがあるにも関わらず、路上に駐車し、通りが渋滞するなどのマナー面でも問題が多発。さらに、環境負荷を軽減するサスティナブルな車両であるという証明が完全ではないという、環境保護の観点からの指摘もあり、様々な方面から電動キックボードのレンタルサービスに対する抗議運動が起きています。そうした経緯もあり、今回、住民投票という形を取らざるを得ない状況になったようです。 また、この住民投票に先立ち、レンタルサービスを提供している企業のひとつであるライムバイクは、利用ユーザーにメールで、投票への参加を呼びかけ、住民投票の有権者であることを証明すると10分間無料で乗車できるというサービスを提案しました。しかし、そのことが原因で同社は“炎上”したと地元メディアが報じています。パリのデビッド・ベリヤード副市長も「あまり歓迎できない行為」とSNSで発言しました。 なお、フランス国内では個人用電動キックボードも約90万台まで普及し、欧州最大の市場となっていますが、個人の所有車両に関して今回規制の対象とはなっていないようです。 ちなみに、日本で電動キックボードに関する意識調査を「弁護士ドットコム」が2022年6月に行った際は、電動キックボード利用者の約2割が「飲酒運転禁止を知らなかった」 と回答しています。法改正で自転車とほぼ同じ扱いになったとしても、酒酔い運転は捕まる可能性があります。今後の法改正に向け、さらにルールの周知を徹底しないとパリのような問題に発展するかもしれません。

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