渋滞解消の秘策「出入口いれかえ」って!? 首都高「池尻~三軒茶屋」改修工事 “東急もやります”のワケは

首都高3号渋谷線の池尻~三軒茶屋間で、混雑緩和のための改修事業が進められています。同区間は分岐と合流が連続するうえ、下り線は上り坂になるため渋滞も発生していますが、今後大きく変わりそうです。

合流と分岐が入り乱れる難所

 首都高3号渋谷線とC2中央環状線を連絡する「大橋JCT」周辺は、首都高の中でも有数の渋滞ポイントです。その原因ともなっているのが、3号線の東名寄り、池尻~三軒茶屋間。この区間で現在、改修事業が進んでいます。

 まず下り線は池尻入口付近から上り勾配となっており、無意識のうちに速度が低下しやすく、後ろにクルマが詰まっていく渋滞が多発します。さらにそこへ池尻入口からの合流も加わり、流れを悪くしています。これがC2中央環状線から合流するクルマにも影響、地上から地下まで螺旋状につなぐ大橋JCTの流れも悪くすることがあります。 反対に上り線(都心方面)は、三軒茶屋入口からの合流と、池尻出口で降りていく車の流れが、交差している状況。本線に入りたい車と降りたい車が錯綜し、速度が低下して渋滞を招いているのです。 これらを改修によって構造から根本的に対策していくのが、現在首都高で進められている「池尻・三軒茶屋出入口付近更新・付加車線増設」事業です。その内容は以下のとおりです。●下り線池尻入口の合流を「上り勾配の先へ」移設。さらに合流車線を延長して、三軒茶屋出口までつなげてしまう。●上り線池尻出口の分岐を「入口があった地点まで、前方へ」移設し、三軒茶屋入口との距離を空ける。さらに三軒茶屋入口の合流車線を延長して、大橋JCT分岐までつなげてしまう。池尻出口はその付加車線から分岐していく形に。 それぞれこのように改修していきます。とはいえ計画概要はシンプルで、結局は「池尻入口と池尻出口の前後関係を逆にする」というものです。まさに「逆転の発想」と言えるでしょう。 この付加車線事業は、老朽化が進む首都高の大規模リニューアルプロジェクトの一環で、舗装の下にあるコンクリート床版の総打ち換えとともに行われるものです。1号横羽線の高速大師橋架け替えなどとともに、複数の工区で順序を踏んで事業が進められています。

で、その事業はどこまで進んでいるの?

 ではこの事業はいつ完成予定で、どこまで進んでいるのでしょうか。首都高のパンフレットでは「2016年に都市計画事業認可、2027年完成予定」とあります。 現在の進捗を首都高にたずねたところ「共同溝および東急田園都市線と一体となった地下構造物の補強工事を実施しています」との回答でした。これは2022年12月に実施された「首都高速道路の大規模更新・修繕及び機能強化に関する技術検討委員会」の資料でも報告されています。 そもそも東急田園都市線の地下区間(渋谷~二子玉川)は、もともと路面電車だったものを新たに地下線で整備したもので、2000(平成12)年まで独立の路線名称「新玉川線」が与えられていました。 その新玉川線は、東京オリンピックに間に合わせるために建設が計画された首都高渋谷線と同じルートで作られることから、「高速道路の高架と鉄道の地下トンネル」を一体ものとして建設することになったのです。 首都高渋谷線は1971年、新玉川線は1977年に開業。半世紀を経て老朽化していることから、今回のリニューアル工事で一体基礎もろとも補強工事を行うこととなりました。 これについては東急も「首都高の基礎部と田園都市線トンネルが一体構造になっている関係から、東急にて田園都市線トンネルを含む補強工事を実施中です」と話します。 この状況をふまえると、まずは基礎工事がある程度進展したあとで、首都高の車線規制をともなう「走行部分の作業」が始まっていくと思われます。 順調に進めばあと5年ほどで「出口と入口の位置が入れ替わる」池尻出入口。鉄道も絡んで大掛かりな工事が予想されますが、完成後は車線変更が入り乱れる「ややこしい区間」の改善が期待されます。

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