京成の踏切に謎のQRコード 読み取ってみると…実は「開かずの踏切」対策

京成電鉄では一部の踏切にQRコードが掲示されています。他社の踏切ではまず見ないものですが、何のためでしょうか。

QRコードを読み取ると…

 昨今、深刻な「開かずの踏切」は立体交差事業によって少しずつ姿を消しています。とはいえ根絶には遠く、自動車や歩行者などが長時間待たされる光景は各地で見られます。 京成電鉄でも、京成高砂駅(東京都葛飾区)や京成津田沼駅(千葉県習志野市)などに隣接する踏切では待ち時間が長くなりがちです。ただし、京成本線沿線のいくつかの踏切を見ると、QRコードが掲示されていることに気づきます。

 鉄道会社は大手を中心に、専用のアプリで列車の運行情報をリアルタイムで提供するサービスを実施しています。列車内や駅などで、案内広告とともにQRコードが掲示されていることがありますが、読み取れば情報にアクセスできるわけです。 試しに京成津田沼駅脇の踏切でQRコードを読み取ると、運行情報が表示されました。踏切待ちをしている人も情報を確認できるようになっているのです。 ただし、踏切を待つ人全員が列車に乗るわけではないでしょう。そうした人へも運行情報を知らせる意図は、「開かずの踏切」対策の一環でもあるのです。遮断中に無理に横断しようとして事故が発生すれば、さらに踏切が閉まりっぱなしになり、「もっと開かずの踏切」と化してしまいます。

急いでいる時こそどちらが早いか判断を

 京成電鉄は待ち時間が長い踏切に対し、駅の自由通路を使って迂回することも呼びかけています。迂回には時間も労力もかかりますが、それでも時間帯によっては待つよりも早く移動できる場合があるため、踏切でも運行情報が確認できるようにQRコードを掲出しているのです。

 その背景には、沿線にいまだ多くの踏切が残っていることがあるでしょう。本来ならば立体交差化により、踏切を除却することが望ましいですが、それには費用と時間がかかります。筆者(小川裕夫:フリーランスライター・カメラマン)は全国の踏切を観察していますが、踏切にまでQRコードの掲出している鉄道会社は珍しいと感じます。 いくら鉄道会社が盛んに情報を提供していても、誰もがアクセスできる環境が整っていなければ意味がありません。すぐに遮断機が上がるのか、それとも自由通路を使って迂回した方が早いのか――京成電鉄はその判断材料を提供しています。 地味な取り組みに見えるかもしれませんが、事故を防止することにつながります。安心・安全のために、鉄道各社の試行錯誤は続きます。

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