EVシフトに“ちゃぶ台返し” 揺らぐ「2035年エンジン車禁止」ドイツら反対で独仏対立に懸念の声

世界的に内燃機関エンジン車の段階的廃止が目指されているなか、ドイツがそれに反対を表明。イタリアなどのEU諸国の一部も賛成しており、事態は長期戦の様相です。

欧州のEVシフト大きく見直しか?

 欧州主導のはずだった“EVシフト”にブレーキがかかっています。欧州連合(EU)でのガソリン車などのエンジン車の新車販売禁止法案に反対の立場を取るドイツ、イタリア、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、チェコ、スロバキアの運輸相が現地時間の2023年3月13日、チェコのプラハに集まり、禁止法案の変更を提案すべく会議を開いたとロイター通信が伝えました。

 ドイツのフォルカー・ヴィッシング運輸相は、同法案に関して、「提案は早急に変更する必要がある」と述べています。今後、同法案に関しては、今回会議参加した国々で同盟を組み、内燃機関の完全禁止ではない、独自の提案を出していきたいとしています。 オーストリアのカール・ネハンマー首相も同日、この会議とは別に、国内の政治演説で内燃機関禁止に反対する姿勢を明らかにしました。今後は、ドイツに協力し、内燃機関の廃止阻止のために最善を尽くすとしています。 EUはかねて気候変動対策の象徴として、2035年以降、ガソリン車などのエンジン車の新車販売禁止法案を掲げていました。法案は欧州議会で2023年2月14日に採択され、残る手続きは理事会での法案承認だけでしたが、3月3日、土壇場でドイツが反対。再生可能資源からエネルギーを生み出すe-fuel(e燃料)のみで走行する内燃機関のクルマを認めない限り賛同はできないとして、イタリア、ポーランド、ブルガリアも同調し、承認は無期限延期となりました。

賛成国の代表格 フランスは妥協する様子は見せていない

 この決定に対して、賛成派であるフランスは、2035年ゼロエミッション計画を強く支持することを変えておらず、現状では妥協する姿勢が見せていません。そのため、アメリカのメディアである「ポリティコ」では、内燃機関の未来を巡って独仏対立に発展する可能性もあるとしています。 内燃機関廃止見直しの動きに関してSNSでは「ありがとうドイツ!」「ドイツが手を引いた」と今回の大きな動きのきっかけになったドイツに言及するコメントや、「西側諸国が目覚めるきっかけ。自分たちが自分たちを破壊していることに気づくでしょう」「EUの計画はばかげている」と発言する人も確認できました。 ただ、反対諸国は、e燃料など、環境負荷の低い合成燃料で走ることができるエンジンのなどを追加するよう求めているということで、必ずしもガソリンやディーゼルエンジンにはこだわっていないようです。 ちなみに、イギリスを構成するスコットランドでも、ガソリン車とディーゼル車の新車販売が禁止される時期を2032年まで延期することを1月12日に決定しました。

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