「あのNinjaの?マジ?」空自C-2輸送機オーストラリアで披露 “カワサキ”の圧倒的ブランド力よ!

オーストリアで開催されたエアショーに日本のC-2輸送機が参加しました。見慣れない青色塗装の日の丸大型機が、外国軍人や現地住民などにどう映ったのか、筆者が会場で取材してきました。

豪州エアショー、今回は展示飛行と和太鼓でPR

 オーストラリア南東部メルボルン近郊のアバロン空港において、2023年2月28日より、国際エアショーイベント「アバロン2023」が開催。そこに日本から航空自衛隊のC-2輸送機1機も参加しました。 オーストラリアで披露されたのは、埼玉県の入間基地に所在する第402飛行隊の所属機です。川崎重工業製の国産機であるC-2は、日本国内の航空祭ではいまや馴染みの存在となっていますが、航空自衛隊しか保有していない機体のため、海外の多くの人々にとっては逆に見慣れない機体となります。

 実は2019年に「アバロン」で開催されたエアショーにもC-2は参加していたのですが、それでも多くの来場者にとっては初めて見る機体といえるでしょう。なお、C-2が纏う青系の迷彩塗装は軍用輸送機としては珍しく、それも会場において注目を集めるポイントとなったようです。 今回の「アバロン2023」では、C-2輸送機215号機を会場に持ち込むだけでなく、その飛行を見てもらうために展示飛行も実施しています。加えて、それ以外の時間帯には機内を開放して一般来場者の見学を受け入れ、クリアファイルやステッカーなどの各種グッズも無料で配布していました。これら対応には航空自衛隊の隊員たちがあたっており、珍しい日本の輸送機について解説し、来場者との交流も深めていました。 無料で配られたグッズの中には、C-2が描かれた団扇(うちわ)も。日本ではお馴染みのノベルティですが、多くの外国人にとっては初見であり、その用途を理解できなかったよう。そのため、隊員が「マニュアル・エアコンディショナー(笑)」と冗談っぽく解説し、使い方を教えていました。ほかにも迷彩柄の折り鶴なども、オーストラリアでは珍しく、好評を博していました。

来場者の反応は?

 しかも航空自衛隊が、日本をアピールするためにC-2輸送機のほかに用意したのが、入間修武太鼓(入間基地太鼓部)による和太鼓の演奏でした。

 この演奏で使う和太鼓などはC-2に積載されて日本から持ち込まれたとのこと。演奏では通常の演目の他に、オーストラリアの曲を加えるアレンジが行われ、和太鼓という外国では初めて見る和楽器の演奏でも、地元の人々に親しみを抱いてもらえるような配慮がされていました。 さらに、演奏の最後にはワークショップという形で見学者に太鼓のバチを貸し出して、一緒に和太鼓を叩き合う参加型パートも実施、一般来場者や他国の空軍隊員たちが参加して、和太鼓を通じた国際交流が行われていました。 今回の「アバロン2023」に参加したC-2は、海外の人にどのように映ったのでしょうか。航空自衛隊の隊員に伺ったところ、「Kawasaki(川崎)」製の飛行機という点が特に驚かれたと話してくれました。というのも、ここオーストラリアで「Kawasaki」というとオートバイやオフロード4輪車(オフロードバギー)などで良く知られた存在だとのこと。特に「Ninja」の愛称で販売されているオートバイは、一般の人々すら知っているきわめてポピュラーなKawasaki製品なのだそう。だからこそ、「この輸送機って、あのNinjaと同じKawasaki製なの?」と驚く人が多かったと言っていました。 カワサキのブランド力はエアショーの運営側も理解しているようで、飛行展示のプログラムでもC-2の表記は「KAWASAKI C-2」となっており、現役軍用機では唯一、メーカー名まで記載されていました。

空自隊員はみんな和太鼓訓練するの?

 また、機体だけでなく和太鼓演奏も好評だったようです。外国の人々には見慣れない楽器かと思いましたが、和太鼓を題材にした音楽ゲームを海外でもプレイしている人が意外と多く、「画面を見ないであそこまでリズムよく叩けるのがスゴイ」という感想を会場で聞きました。

 ちなみに、現地メディア関係者からは「あのドラム(和太鼓)の演奏は凄いね。でも、ひとつ疑問なんだけど、日本のエアフォース(航空自衛隊)って入隊すると皆あの楽器の演奏を習うの? あれだけ見事な演奏だから訓練でやっているんだよね?」なんて問いかけもありました。 C-2輸送機は、前述したように日本製で、いまだ航空自衛隊以外に導入事例がないため、いうなればマイナー飛行機に含まれる存在です。しかし、だからこそ「Kawasaki製」というのと「和太鼓演奏」によって大きなインパクトをオーストラリア市民に与えることができたのかもしれません。 いずれにせよ、今回の「アバロン2023」のC-2参加は、多くの海外の人々に「日本から来た青色の大型機」という印象を植え付けたのは間違いないと、現地で取材した筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は実感しました。

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