大ヒット機の異端児! 「胴体がやたら短いエアバスA320」の伝説 英国ではユニーク活用法も

チョロQみたいでかわいいルックスですが、機能は凄い?

A320より約6m短い約31.4m

 世界でもっとも売れた旅客機として知られている、ヨーロッパの航空機メーカー、エアバス社のベストセラーシリーズ「A320ファミリー」にはユニークな派生型が存在します。2002年1月15日に初飛行した胴体短縮タイプの「A318」です。同機は、その著しくコンパクトなサイズ感から、「ベビーバス」、もしくは「ミニバス」といった愛称をもちます。

 A318のベースデザインは基本形のA320とほとんど同じです。ただ、A318の標準座席数は90~110席。全長はA320より約6m短い約31.4mで、それまでA320の短縮型と位置づけられてきたA319から、さらに胴体を約2.5m短くしています。 エアバスでは、1990年代後半に、中国とシンガポールとパートナーシップを結び、100席クラスの新設計機の開発を計画していました。この計画はとん挫したものの、既存機A319のさらなる短縮――という形でそのコンセプトが引き継がれ、このA318が開発されました。 一方で大ヒット機の系譜をくむこのA318でしたが、カナダ・ボンバルディアCRJシリーズやブラジル・エンブラエルのE-Jetといった、A318と競合するキャパシティを持ちながら、時代に即した新設計を施した「リージョナル・ジェット」にニーズを奪われてしまったため、製造機数はわずか80機に留まりました。 とはいうものの、この「ベビーバス」ことA318のなかには、とてもユニークな使われ方をした機体もありました。

「ベビーバス」の超ユニークな活用法

 イギリスのBA(ブリティッシュ・エアウェイズ)ではA318を、32席仕様のオールビジネスクラス仕様機とし、裕福層向けのロンドン~ニューヨーク線を運航していました。同路線では、ニューヨーク行きでは経由地にて税関と入国審査を実施することで到着後の時間を節約できるなど、独自のサービスを掲げていました。便名はかつて超音速旅客機「コンコルド」運航便で用いられた「1便」「2便」です。 この路線でのロンドンの発着空港は、国際線の玄関口、ヒースロー空港ではなく、ロンドンシティ空港を使用。ロンドンシティは市街地へのアクセスに優れているものの、滑走路が短く降下角度が急であることから、就航できるジェット機は限られています。 そこでエアバスは、通常3度の降下角のところを5.5度まで対応できる「Steep approach(急角度アプローチ)」の機能をA318に備えることで、同空港への就航を可能としました。

 エアバスでは現在、同社製旅客機のなかではもっとも小型のシリーズである「A220」を主力商品に掲げています。A220の標準型「A220-100」は100-135席の座席数で、まさにA318の後継機といえるモデルです。 A220は、ボンバルディアの「Cシリーズ」として開発されたモデルで、2018年、2社の業務提携によって「エアバスA220」にモデル名を変更したというユニークな出自をもちます。なおこの「次世代のベビーバス」ともいえるA220も、BAのA318と同等の性能をもつ「Steep approach(急角度アプローチ)」認証を得ているほか、1500m程度の滑走路でも離着陸可能な性能を持ちます。

【映像】豪華すぎるベビーバス? オールビジネス「BAのA318」の機内(2分半)

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