「“ほぼ東京”の山梨」への路線バス、12月に廃止! 新宿から3時間 今は「2時間半の新ルート」も 廃止後どうなる

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東京都に接する山梨県東部・小菅村のアクセスを担う西東京バスの路線が廃止となります。ハイキング客の足として親しまれた路線でしたが、今は別ルートも開かれました。

奥多摩から乗ったらシートベルト付の路線バスだった

 山梨県東部の丹波山(たばやま)村と小菅村は、多摩川の源流域にあり歴史的に東京都との結びつきが強い地域です。両村への主要なアクセス手段となっているのは、青梅線の奥多摩駅から都県境を越えていく西東京バスの路線です。

 しかし、その一つが2026年12月に廃止されることとなりました。小菅村へ向かう西東京バスの「奥12」系統 奥多摩駅~小菅の湯線(小菅線)です。ダイヤ改正は12月16日ですが、この系統は12月13日(日)が最終運行となります。

 奥12系統は2024年10月に大きく減便され、平日は廃止、休日も6往復からわずか2往復まで急減しました。今回は休日の奥多摩駅発14時15分発の小菅の湯行きに乗り、状況を見てきました。

 このバスは奥多摩駅の前にある西東京バス五日市営業所氷川支所から発車していますが、バス停の名前は奥多摩駅です。ここを発車した時点では、20人以上の乗車がありました。

 運転席の真後ろの席に座ると、シートベルトが設置されており、運転士から着用を促されました。「オタ席」とも呼ばれる進行左側の一番前の座席も同様です。奥12系統をはじめとして奥多摩を発着する路線はカーブや急坂が多く、高い位置にある最前列座席はシートベルトが必要なのかもしれません。

 バスは青梅街道こと国道411号を西へ進み、沿線を流れる多摩川を何度も渡ります。次いで進行左手の車窓は奥多摩湖に変わり、カーブとトンネルが続きます。この道が目当てなのか、ツーリングのバイクも数多く見かけました。バスは途中で何度か停車し、後から来た車に進路をゆずってゆっくり走ります。

 客の乗り降りがあったのは奥多摩湖のバス停で、ここで20人弱がバスを降り、次いで数人の乗車がありました。比較的混み合っていたバスは、ここで一気にガラガラになります。

 奥多摩駅から奥多摩湖に向かうバス路線は奥12系統を含めて6つあり、この辺りまでは毎時1~3本程度のバスが運行されています。奥12系統だけが走るのは、途中の深山橋(みやまばし)~小菅の湯間です。深山橋交差点からバスは国道411号を離れ、小菅村へ向かう国道139号を走ります。

 ところが、奥12系統は深山橋交差点で国道411号をいったん直進します。2つ先の留浦(とずら)バス停に寄るためです。留浦バス停の近くには奥多摩湖を跨ぐ「留浦の浮橋」があります。奥多摩湖から乗車した客も、留浦で降りていきました。

山梨に入ると「どこから乗ってきましたか?」

 留浦に立ち寄ったバスは深山橋に戻り、交差点を右折して国道139号へ。奥多摩湖に流れ込む小菅川沿いをさかのぼります。

 庄の指(しょうのさす)というバス停から先が山梨県となり、「東京都のシルバーパスは使えません」という旨の放送が流れます。このバスを利用して奥多摩駅で降りる時、東京都のシルバーパスを提示すると「どこから乗ってきましたか?」というやり取りがあるのも、この路線の特色です。

 小菅村役場の交差点で左折し、つづら折りの坂を上がって「道の駅こすげ」の看板がある交差点を右折すると終点、小菅の湯です。奥多摩駅から1時間、26kmの行程で、終点までは3人が乗車していました。バスは折り返し奥多摩駅行きとなり、ハイキング客が乗車していきました。

 小菅の湯からは富士急バスの路線もあり、定期運行の路線では大月・小菅線(大月中央病院・大月駅~小菅の湯)が運行されています。季節運行の路線として飯尾線(上野原駅~飯尾・小菅の湯)があり、こちらも大型のバスで峠道や狭隘路を走行するアグレッシブな路線でもあります。2026年も12月13日までの土休日、つまり奥12系統の最終運行日までは、奥多摩~小菅の湯~上野原という移動が可能です。

 今回の場合は、奥12系統が小菅の湯へ15時15分に到着し、15時20分発の上野原行きのバスに乗り継ぐことができましたが、小菅の湯発16時17分発の上野原行きも設定されています。

廃止後もすでに見据えている?

 小菅村へのアクセスは、2014年に大月方面へ向かう国道139号の松姫峠に松姫トンネル(3066m)を含むバイパスが開通したことで、小菅の湯と大月駅を結ぶ路線バスが定期運行を開始しました。このルートでは、大月や途中の猿橋から中央線に乗り換えることで、新宿から小菅の湯まで2時間半程度で移動できます。

 一方、西東京バスで奥多摩を経由する従来ルートでは、新宿までの所要時間が3時間弱かかるため、富士急バスを利用した方が早いのが実態です。そのためか、西東京バスの奥12系統は収支が回復しない現状が伝えられています。

 小菅村では、マイクロバスやワゴン車による村営バスが運行されています。定期便は平日の朝のみ運行され、それ以外では予約制バスとしています。この村営バスが奥多摩町内の西東京バスの路線や、富士急バスの路線と接続を取る形で運行され、奥12系統がなくなった後も、村営バスが奥多摩発着の西東京バスと接続することで、奥多摩方面への移動手段が確保されています。

 なお、西東京バスで東京都と山梨県をまたぐ路線としては、奥12のほか「奥09」系統奥多摩駅~鴨沢西(かもさわにし)線(鴨沢線)と、「奥10」系統奥多摩駅~丹波山村役場線(丹波線)が運行されています。