【北京時事】高市早苗首相の台湾有事に関する発言から7日で1年。中国の習近平政権の対応には一部軟化の兆しが見られるものの、対日強硬姿勢そのものは崩していない。政府間の対話にも応じておらず、関係改善は見通せない。
中国外務省の郭嘉昆副報道局長は6日の記者会見で、「遺憾なことに、1年たっても日本の当局は反省や誤りを正す誠意や行動を示していない」と主張。「中日関係が重大な困難に直面している責任は完全に日本側にある」と従来の見解を繰り返し、「台湾問題における誤った言動の早急な是正」を改めて求めた。
高市氏は、昨年11月7日の衆院予算委員会で、台湾有事は自衛隊が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態になり得る」と答弁。台湾を中国の一部と見なす習政権は「粗暴な内政干渉」(中国外務省)と猛反発し、対抗措置に乗り出した。批判の対象は高市政権の安全保障政策の転換にも広がり、ロシアや北朝鮮を引き込んで「新型軍国主義」「再軍事化」などと非難を続けている。
日本側との対話や交流を事実上停止した習政権だが、今年8月と9月には超党派の国会議員による訪中団を相次いで受け入れた。また、9月には何立峰副首相と王毅共産党政治局員兼外相が、岩屋毅前外相を団長とする日本国際貿易促進協会(国貿促)の代表団と会談。何氏は、「中日両国は互いに重要な経済・貿易パートナーだ」と述べた。
断絶状態からはわずかに前進したとも言えるが、「民間団体などを通じて高市政権に圧力をかけるのが狙い」(外交関係者)との見方は多い。実際、習政権が外交当局間の対話に乗り出す気配は依然、見えない。
今月18、19日に中国・深センで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での日中首脳会談も実現のめどは立っていない。習政権はトランプ米政権と関係の安定化で合意。他の西側諸国とも対話を維持しており、対日関係の改善を急いでいないもようだ。習氏は歴史認識などを巡り発言前から高市氏に不信感を持っていたとされ、日中関係筋は「状況が好転するには数年かかるだろう」と話す。
〔写真説明〕中国の習近平国家主席=10月30日、北京(EPA時事)