【サンパウロ時事】25日のブラジル大統領選決選投票で左派のルラ大統領(80)が右派のフラビオ・ボルソナロ上院議員(45)に辛勝した。父親ジャイル・ボルソナロ前大統領を打ち破った4年前よりも、社会や政治の右傾化が進展。分断は深刻で、通算4期目には、経験したことのない厳しい政治環境が待ち構えている。
トップ通過を期待された4日の第1回投票で予想外の次点に終わっていたルラ氏。決選投票で逆転した理由について、経済誌エザミは「従来の支持基盤である北東部で投票率と支持率を改善させたことが大きい」と分析する。インフルエンサーの起用など、SNS時代に即した選挙運動を展開したことも勝利の一因になったとみられる。
過激な言動で国民の分断や憎悪をあおる「ボルソナリズム」再来を危惧する貧困層などの支持を土壇場で回復したことはルラ氏にとって幸いだった。ただ、支持率は期数を重ねるごとに下がっており、有権者からは「ルラ疲れ」の声も聞かれる。高齢不安も強まるばかりだ。
大統領選と同時に実施された連邦議会選では、ボルソナロ氏を擁立した右派野党・自由党が躍進し、上下両院で第一党となった。ルラ氏は演説で「国民が選んだ議会と協力する」と殊勝な態度を示したが、議会運営は難航しそうだ。
今回の決選投票では当日になって、交通機関の混雑などを理由に、全土で投票時間の2時間延長が突然発表された。ボルソナロ氏は「ブラジル史上、前例がない。国民の間で平等が損なわれた」と主張して選挙の無効を訴えている。
ブラジルでは前回大統領選後の2023年1月、敗北したジャイル・ボルソナロ氏の支持者らが連邦議会など国の中枢機関を襲撃し、社会の混乱を招いた。ルラ氏が時間延長に対する不満を解消できなければ、前回以上の騒動が起きる恐れがある。
〔写真説明〕ブラジル最高裁を襲撃するボルソナロ派=2023年1月、ブラジリア(AFP時事)
〔写真説明〕ブラジルの三権の中枢を襲撃後、引き揚げるボルソナロ派=2023年1月、ブラジリア