2026年10月に運行開始した立川バスの江ノ島線。立川から江ノ島まで直結する新たなバス路線に勝機はあるのか、実際に乗ってみました。
江ノ島を発着する高速バス
立川バスが2026年10月16日から高速バス「江ノ島線」の運行を開始しました。東京郊外の立川から圏央道を経由し、神奈川県の観光地である江ノ島を直接結ぶという異色の路線です。このバスがどのような形で利用されているのか、実際に乗車して確かめてみました。
立川バス江ノ島線は、1日1往復運行されています。今回乗車したのは、江ノ島16時10分発の立川駅南口行きです。江ノ島の島内に発着するのが特徴のひとつですが、その島内の「江ノ島」バス停は2つあり、かつて京急バスが江ノ島に乗り入れていた頃のバス停を使用しています。
ただ、発車5分前にやってきたバスが、2つあるうちの江ノ電バスが使用しているほうの停留所に停まってしまい、本来のバス停まで移動する一幕もありました。
この日は運行開始4日目の平日でしたが、バス停には立川駅行きを待つ利用者が20人ほどいて、発車するまでには25人程になっていました。
所要時間は2時間ほどあり、高速道路を走ることもあって観光バスのタイプのバスが使用されています。車内の案内には「羽田空港」とあり、普段は羽田空港線(昭島・立川・国立・谷保~羽田空港)で使用されているバスのようです。トイレ付きで、座席には充電用のUSBポートもありました。
富士山を見たければ座席を選べ!
時間通りに江ノ島を発車したバスは江の島大橋を渡り、江ノ島入口交差点を左折して国道134号を西に向かって走ります。国道134号は相模湾の海沿いを走りますが、道路の両端を松林が囲む形で、たまに海が見える程度です。
江ノ島がある神奈川県藤沢市から隣の茅ヶ崎市に入り、柳島交差点を右折して茅ヶ崎海岸ICから新湘南バイパスを走ります。さらに、茅ヶ崎JCTから圏央道へ入り、相模川沿いを北上していきます。国道134号では西へ向かって正面に見えていた富士山は、圏央道に入ると進行左側の車窓に移ります。
圏央道は高い所を走るので見通しが良く、富士山を見るのであれば、立川行きは進行左側、江ノ島行きでは進行右側の席に座るのが良いのかもしれません。このバスは座席の指定はなく、先着順で好きな席を選ぶことができます。
やっぱり詰まってくる「海老名」
圏央道では途中、海老名JCTあたりから車の流れが悪くなります。渋滞という程ではありませんが、流れが良くなっても交通量の多い状態が続きます。圏央道の海老名JCT周辺は工場や物流拠点があり、走行している車はトラックが目立ちます。
工場や物流拠点の景色が途切れると圏央道は山間部を走行し、トンネルが続くようになります。この日は江ノ島を出てから1時間程で八王子JCTを通過、圏央道から中央道で都心方面に向かいます。
国立府中ICで中央道を降りて一般道に移り、国道20号日野バイパスを走行して石田大橋北交差点を右折、さらに都道20号線に入って谷保三丁目交差点を左折し、都道256号線に入ります。
国立府中ICは立川駅から見て南東部にあり、バスは右左折を繰り返してジグザグに北上する形です。都道256号は甲州街道と呼ばれていますが、先の日野バイパスが国道20号となったことで、国道から都道に移管されたものです。都道256号の日野橋交差点を西へ直進すると都道29号線に変わりますが、こちらは新奥多摩街道と呼ばれています。
都道29号線の立日橋北交差点を右折し、多摩都市モノレールの下を走ると終着の立川駅南口です。
所要時間を実測すると「めちゃ早い!?」
今回乗車した立川バス江ノ島線の所要時間は、2時間10分と案内されています。実際には17時40分頃に到着し、実測した所要時間は1時間30分程でした。
途中、圏央道で流れが悪い場所があった以外、車の流れが比較的スムーズでした。平日の夕方の時間帯としては車の流れが良い方で、渋滞がなかったために予定よりも早く着くことができたのかもしれません。
この便では途中の乗降は一切なく、江ノ島からの乗客が一斉に降りていきました。乗車する際に運賃を支払うので、降りるのはスムーズです。運賃の支払いにはPASMOなどのICカードが使用できますが、複数人をまとめて支払うこともあるようで、乗車は少し手間取っていました。運行開始から間もないこともあり、降りる際に立川江ノ島線開業記念のシールが希望者に配布されていました。
運賃は「鉄道の倍」
観光地のバスということで、乗客は家族連れやグループ客ばかりで、会話が盛り上がっていました。会話の中で、「東京~大阪で3000円くらいのバスもあるのに、この区間で1900円もかかるのか?」という声もありました。
立川~江ノ島の移動では、JR南武線と小田急線の乗り継ぎが最速・最安で、所要時間は1時間40分程度、運賃はICカードで854円です。バスと比べると所要時間は大差なく、運賃は半額以下です。
しかし、電車移動では登戸と藤沢で2回の乗り換えがあります。立川や藤沢は始発の電車に乗って座って行くことができますが、登戸で乗り換えた先の電車では座れないこともあります。バスであれば乗り換えの面倒がなく、座って行くことができるのが強みです。
運転士不足などの理由により、都市部でもバス路線の廃止や撤退が目立つ中、新規の路線設定は珍しくなりました。今後、立川バス江ノ島線がどのような形に育っていくのか、楽しみなところです。