【ワシントン時事】11月3日の米中間選挙の投開票に、連邦政府が介入するのではないかという懸念が深まっている。トランプ政権は既に、アラスカ州連邦上院選の結果認定を一定の条件下で差し止めるよう求める訴訟を起こした。トランプ大統領の一部支持者の間では、各州での「選挙不正」阻止のため、トランプ氏が国家非常事態を宣言すべきだとする声まで上がっている。
トランプ氏はかねて、現状では不正が横行すると主張し、投票時の身分証明書の提示義務付けなどを柱にした選挙制度改正法案の可決を議会に迫ってきた。こうした中、米メディアは2月、トランプ氏に近い弁護士らが、過去の「外国による選挙干渉」を根拠に国家非常事態宣言を出し、大統領権限で同様の措置を講じる大統領令の「草案」を関係者に配布したと報道。不安が拡大した。
連邦捜査局(FBI)はこれに先立つ1月、トランプ氏が敗北した2020年大統領選の「不正」捜査の一環として、南部ジョージア州フルトン郡の選挙関連施設を捜索。議会では、中間選挙の激戦州であるミシガン州選出のスロトキン上院議員が、軍や州兵を投票所に送るつもりではないかと政権を追及し、ケイン統合参謀本部議長は「派遣の計画はない」と打ち消しに追われた。
しかし、疑念は解消していない。司法省幹部は8月、約1000人の監視員を投票所に派遣すると米メディアに説明。前回22年の中間選挙の3倍に当たる人数で、同省による選挙監視としては過去最大規模になるとされる。
トランプ氏は9月末の米誌とのインタビューで非常事態を宣言する考えはないかと問われ、「いかなる可能性も排除しない」と言葉を濁した。今月には司法省が同氏の指示を受け、与党共和党の現職と同姓同名の別候補が出馬しているアラスカ州上院選で、現職が僅差で敗北した場合は結果の認定を差し止めるよう求めて提訴。移民税関捜査局(ICE)の捜査官らを投票所周辺に派遣するとの臆測もくすぶる。
選挙関連の実務は原則として各州が所管しており、大統領や連邦政府が一方的な措置を講じれば合法性を問われるのは必至だ。野党民主党が知事職を占める各州当局や市民団体は危機感を強めており、一部州は連邦政府の監視員を逆に監視する要員を投票所に送り、警戒に当たる方針だ。
〔写真説明〕トランプ米大統領=22日、中西部アイオワ州スーシティー(AFP時事)