中央アジアの夜行寝台列車はソビエト時代からの等級が受け継がれており、プラツカルト(開放3等寝台)も連結されます。ソビエト版開放式寝台の体験をお伝えします。
開放3等寝台「プラツカルト」を体験
かつて日本では、座席や寝台の夜行列車が全国の街と街を結ぶように走っていました。現在、定期夜行列車は電車タイプの寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」が活躍しています。
かたや海外に目を向けると、夜行列車は今も活躍しています。世界各地で走る夜行列車は大きく分けて座席車と寝台車に分類され、座席車のおおかたは座席固定の有無、リクライニングの有無、座席配列などの違いですが、寝台車は車両の大きさによってレイアウトが変わってきます。
そこで、日本では馴染みのない広軌の鉄道の寝台列車、それも上位クラスの個室ではなく安価な3等寝台はどのようなものか、筆者(吉永陽一:写真作家)がつい最近に実体験した寝台列車をもとにしてお伝えします。
1520mmや1668mmといった広軌は、1435mmの標準軌よりも車体を大きく設計できるため、車内空間に余裕が生まれます。そうして誕生したのが、ロシアの開放寝台「プラツカルト」でした。ロシアの客車の車体幅は3100mmが基本で、狭軌や標準軌の客車よりも15~30cmほど広いです。
プラツカルトは車体の横方向(枕木方向)に2段寝台が、通路を挟んで縦方向(レール方向)にも2段寝台が並んでいます。カーテンの仕切りはなく、寝ているときもオープンな状況です。
筆者はウズベキスタンの鉄道でプラツカルトを体験しました。中央アジアの国々は帝政ロシアからソビエト連邦へと組み込まれ、鉄道もソビエトの方式を取り入れていました。軌間は1520mm、ソビエト時代の客車を改良した車両が導入され、プラツカルトも多く連結されています。ロシアではプラツカルトの近代化が進み、半個室化された新型客車が導入されていますが、中央アジアの鉄道では今も開放式寝台タイプが使用されています。
筆者の予約した寝台は車端側の下段(35番)で、縦方向の寝台です。ウズベキスタンでは上段が偶数となります。縦方向の寝台は幅が若干狭い55cmで、小柄な日本人の体格ならばなんとかですが、大柄な体格では窮屈かと思われます。また、寝台列車は大荷物の収納が課題です。上段のさらに上に大きな荷物棚がありますが、車体が大きいため全高も約2.5mあり、荷物棚への大荷物の収納は一苦労です。なお横方向寝台の下段は、寝台を上げると荷物スペースがあります。
プラツカルトはプライバシーを作るのが難しいため、器用な利用者は自前の布か、配られたシーツを即席のカーテンにしていました。逆に言うとプライバシーがないということは、すぐ隣人とのコミュニケーションの場となります。旅人同士、言葉は通じなくとも出会いがありました。一夜を移動する空間ならではの出会いは、旅の良い思い出となります。
日本では味わえないプラツカルトという独特な配置は、プライバシーの面でちょっとハードルが高そうですが、一度体験すると貴重で楽しい思い出になるかもしれません。