「譲る気はない」浅野拓磨、10年ぶり広島帰還で即アシスト! 31歳でも変わらぬ闘志「21歳の自分より今の俺の方がギラギラしてる」

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 浅野拓磨が広島のピッチに帰ってきた。17日、エディオンピースウイング広島(Eピース)で開催された明治安田J1リーグ第10節の京都サンガF.C.に途中出場し、10年ぶりにホーム帰還を果たした。

 1点リードで迎えた69分、アップしていた浅野にベンチから声がかかった。出場の準備を終えてライン脇に立ち、飲水タイムをはさんで74分、初めてEピースのピッチに入った。「このスタジアムでプレーするのを1つの夢として今までやってきた」。憧れの新ホームで、久々に紫の応援を浴びた。

「チャントや声援がスタンドから聞こえると、帰ってきたなって感じました」

 3744日ぶりのホーム復帰となった。浅野は2016年7月17日に行われた横浜F・マリノス戦を最後に広島を旅立ち、10年間にわたって欧州で戦ってきた。この夏に古巣への復帰を果たし、開幕直前の負傷で出遅れていたが、11日に行われたJ1前節の東京ヴェルディ戦で復帰後初出場。今節ついに広島のピッチに帰ってきた。「とにかくチームをもっと勢いづけるために、持っているものを全て出そうという気持ちでした」。いつもと変わらぬ姿勢で試合に入った浅野は直後の78分、自身のパスが相手選手にカットされると、こぼれ球にいち早く反応してボールを奪い返し、右サイドにパスを送った。

「とにかく五分五分のボールを全力で奪いに行って、それがマイボールになってゴールまでつながったのはラッキーだったかもしれないけど、ああいうシーンでも自分が今持っている全力を出せたと思います」

 パスを受けたFW鈴木章斗がペナルティエリア右から中央にカットインし、相手2人をかわして左足シュートでゴールネットを揺らした。いきなりアシストを記録した浅野もゴール前に走り込んでいただけに、「(ボールを)出せるタイミングはあったと思うので、『くれ!』とは思いましたけど」と笑いつつ、得点には「アキトが素晴らしくて、ゴールをしてくれて助かったシーンでしたし、広島の攻撃陣は素晴らしい選手が多いなと改めて感じました」と味方を称えた。

 出場からわずか3分後に勝利を引き寄せる追加点をお膳立てしたが、「アシストに関しては全く興味ないんで」と笑顔で言い切る。ピッチではとにかく“ゴール”に貪欲だった。84分に高い位置で相手のパスをカットすると、持ち前のスピードに乗って持ち上がり自らシュートを打ち切った。88分には左サイドからカットインして右足シュート。少しでもチャンスがあれば、強引にでも足を振り抜いた。お馴染みの“ジャガーポーズ”はお預けとなったが、浅野らしく得点にこだわる強い意志をピッチで前面に出した。

「僕はこのチームの中だったらベテランだと思いますし、経験豊富な選手として周りからも思われているかもしれないですけど、でも僕に必要なことは貪欲さだと思っているので。それを今日はピッチでも表現したかったですし、ああやってがむしゃらに、貪欲に、無理な体勢でもシュートを打つことを自分でも決してかっこいいとは思わないですけど、でも、ああいう姿をやっぱり今の広島で僕は見せていきたいですし、『譲る気はないぞ』っていうのをピッチの中でも表すことを意識しています」

 ホーム復帰戦はアディショナルタイムを含めて約20分間プレーし、前線で攻守にわたって懸命に走り続けた。広島復帰後3試合目で終盤にバテた様子もあった浅野は、「もっとコンディションを上げれば自分の強みは出せると感じたので、とにかく次の試合に向けてコンディション上げていきたいです」とさらなる向上を誓い、「スペースへの飛び出しやスピードを生かしたプレーは、絶対にこのチームにももたらさないといけないので、とにかく自分の良さを生かしてゴールに結びつくプレーをどんどんやっていきたいです」と意気込んだ。

 10年前の広島ラストマッチ後、当時21歳の若きスピードスターは、「成長してたくましい姿を見せて、笑顔を届けられる選手になりたい。またみなさんと紫のユニフォームを着てプレーすることを楽しみにしながら全力で頑張りたいです」と目に涙を浮かべつつサポーターに別れを告げていた。そこから欧州で確かな成長を遂げ、31歳になって広島に帰ってきたが、得点や成長への貪欲さはむしろ増すばかりだ。それが何より浅野らしい。

「年を取ったらプレースタイルが変わったり、余裕ができたり、メンタルが変わったり、いろいろあるとは思いますけど、僕が成長を求めることは変わらないです。もし今ここに21歳の自分がいたら『お前より今の俺の方がギラギラしてるぞ』って言えるぐらい負けたくないと思っているので。だから、今の若い選手たちに対しても、僕はそういう気持ちでやっていますし、それをピッチで表現していきたいです」

 初めてEピースのピッチで戦い、新ホームの雰囲気を味わった。欧州10年で様々な国のスタジアムでプレーして現地の雰囲気を肌で感じてきた浅野は試合後、「もう『素晴らしい』の一言ですね」と感嘆の声を上げた。

「このスタジアムの雰囲気やクオリティは世界にもなかなかないスタジアムだと思います。それは、スタジアムだけが素晴らしいんじゃなくて、ファン・サポーターの方をはじめ、みんなで作り上げているものだと思うので、ぜひこれからもずっと続けてほしいです。そのためにも俺らが全力で頑張って、Jリーグ優勝を絶対にしないといけない。なので、このスタジアムで素晴らしいファン・サポーターと優勝するために全力で頑張ります」

 広島の新たなホームで浅野の挑戦が再開した。「ここから結果を残して、この素晴らしいスタジアムで素晴らしいファン・サポーターの方々と喜びたいですし、それが自分のゴールで喜べるように頑張ります」。貪欲に求める得点とジャガーポーズで、再び広島を笑顔にするときも近い。

取材・文=湊昂大

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