「砂漠の新幹線」は大人気! 夜行14時間超の移動を半分にした中央アジアの最新高速列車に乗ってみた

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日本の約1.2倍の国土を持つウズベキスタンでは、各都市を結ぶ鉄道網が発展を続けており、高速鉄道網も充足しつつあります。新たに走り始めた高速列車を紹介します。

建国35周年の今年にデビュー

 中央アジアに位置するウズベキスタンは古代よりシルクロードの交易で栄え、8世紀以降のアラブ人征服後にイスラム化し、18世紀からのロシア帝国征服、20世紀のロシア革命後のウズベク・ソビエト社会主義国建国を経て、1991年にウズベキスタンとして独立しました。2026年は建国35周年にあたります。

 国内には悠久の歴史を感じさせる古代都市やイスラム建築などが点在し、ユネスコの世界遺産に登録された地域は8か所に及びます。ウズベキスタンで初めて世界遺産に登録されたのは、1990年のヒヴァ旧市街「イチャン・カラ」です。イチャン・カラとは城壁に囲まれた都市のことで、ヒヴァは16世紀初頭のヒヴァ・ハン国の首都でした。16世紀から17世紀にかけては、いくつかの国が点在して領土争いを繰り返し、二重の城壁で守備を固めたヒヴァ・ハン国の姿が21世紀の現在も色濃く残り、旅人たちを魅了しています。

 ヒヴァは首都タシュケントから鉄道で約1020kmも離れています。この地を効率良く観光するには、空路で近隣の都市ウルゲンチまで飛び、タクシーやバスでアクセスします。陸路ではウルゲンチ~ヒヴァ間の鉄道が2019年に開通し、タシュケント~ヒヴァ間の夜行列車が運行を開始。タシュケント21時45分発、ヒヴァ12時09分着(2026年夏現在)という約14時間半の夜行列車旅となります。

 そして2026年5月、新たに高速鉄道の「ジャロリディン・マングベルディ」号が運行を開始しました。列車名はモンゴル帝国侵攻に最後まで抵抗した13世紀の英雄ジャロリディン・マングベルディに由来します。

 ウズベキスタンの高速鉄道は、2011年運行開始の「アフラシヤブ」号が活躍しています。この列車はスペインのタルゴ社などで製造された動力集中方式のタルゴ250タイプを使用しています。

 一方、ジャロリディン・マングベルディ号は各車両に動力車を配する動力分散方式を採用しています。車両メーカーは韓国ヒュンダイロテム社で、韓国の高速列車「KTX-イウム」に使われている韓国鉄道公社150000系電車をベースにした初輸出モデルです。

 ウズベキスタン鉄道では2000系として、VIP車+エコノミー車の7両編成で運用されています。エコノミー車の一部にはビュッフェも設定。軌間は韓国の1435mmに対し、ウズベキスタンの広軌1520mmに変更され、最高速度は250km/hです。

座席2クラスの設備は?

 注目されるのは所要時間。タシュケント~ヒヴァ間は7時間42分(逆区間は8時間2分)と、夜行列車の約半分の時間で駆け抜けます。列車は観光客が巡る都市サマルカンドやブハラも通るため、観光利用としても大きく期待されています。

 運行が始まった5月5日からしばらくは隔日運行でしたが、現在は編成も増備されてほぼ毎日運行されています。筆者(吉永陽一:写真作家)は平日にジャロリディン・マングベルディ号でヒヴァからサマルカンドへ向かいました。既存の列車で9時間12分のところ、5時間31分で結びます。のんびり夜行の客車列車旅も旅情はあるのですが、効率を重視すると高速列車の存在はありがたく、乗車した所感では、車中の乗客は8割ほどが外国人観光客でした。ヒヴァ駅は7時10分発と早朝の出発となりますが、タシュケント駅まで8時間の行程を考えると、早朝発になるのは致し方ないと感じます。

 VIP車はいわゆるビジネスクラスで、2+1列配置の向かい合わせ固定席。大きなデスクも固定され、一人利用だと相席になります。ビュッフェからウエルカムドリンクと朝食の供食サービスがあり、適宜車内販売も巡回していました。

 エコノミー車は2+2配列の回転式座席で、軽食の供食サービスが含まれて車内販売もあります。4号車の半分はビュッフェであり、撮影禁止ではあったもののシンプルなL字カウンターのレイアウトでした。ビュッフェではフレッシュジュースも販売され、人工甘味料に飽きた喉を潤してくれます。エコノミー車はヒヴァ駅からほぼ満席の号車が目立ちました。

 ジャロリディン・マングベルディ号は砂漠地帯を俊足で駆け抜けます。ヒュンダイロテムは、砂漠の環境に合わせて防塵設計を施しました。この編成は合計7本が導入される予定で、首都タシュケントからサマルカンド、ブハラ、ヒヴァへの観光ルートの拡充が図られます。

 ジャロリディン・マングベルディ号は運行開始から人気を博し、予約サイトではなかなか座席が取れない状況が続いています。筆者はたまたま利用2日前に空席があったためVIP車を予約できたのですが、運が良かったと思われます。この列車は限られた旅程でヒヴァへ訪れる際に便利であり、その際は航空券の予約とともに列車の予約も試みたほうが良さそうです。