首都高速道路が、道路メンテナンスに用いられている技術や設備・用品などを紹介する「点検・補修デモ」を開催。首都高の運営業務における“困りごと”を解決する、さまざまな最新アイテムが披露されました。
道路事業者を悩ます「定番トラブル」
首都高速道路は2026年10月16日、道路メンテナンスに用いられている技術や設備・用品などを紹介する「点検・補修デモ2026」を開催しました。本イベントには大学生のほか、関係者など合わせて約45人が参加しました。
日々メンテナンスを行うスタッフは、様々な現場で、多様なトラブルに見舞われるといいます。なかには“定番”と言える、よく起こるトラブルも。そんな維持管理における“お困りごと”を解決する、さまざまな最新アイテムが披露されました。
「わざと折れる」三角コーン
定番のお困りごとの一つが「工事規制に一般車が突っ込み、三角コーンが持っていかれてしまう」ことだそう。これを解決したのが首都高メンテナンス神奈川(横浜市)が出展した「ステイコーン」という三角コーンです。
見た目は普通の三角コーンとあまり変わりませんが、手で触れると根元から“ぐにゃり”と大きく曲がります。
このコーンは厚さ2~3mmのウレタン樹脂でできており、わざと変形することで衝撃を受け流す設計になっています。車両などが接触した際、コーンは大きく曲がって衝撃を吸収し、その場に留まります。これにより、車両に巻き込まれてコーンが遠くまで運ばれてしまう事態を大幅に減少させられるといいます。
同社のスタッフによると、持ち去られたコーンは捜索が必要になるため、現場の負担になっていたとのこと。「遠くに持ち去られてしまうよりは、この規制体の中に留まってほしい」(スタッフ)という思いから開発され、実際にステイコーンを導入した現場では、持ち去りの件数が少なくなってきているそうです。
また、重さも1本あたり約5kgとし、風で飛ばされるリスクも抑制。設計上は、風速18m/sの強風にも耐えられるそうです。なお価格は「最も安い製品の3倍ほど」(同)とのことですが、紛失や破損による交換、捜索の手間を考えれば、現場作業やコスト面での負担を大きく軽減できるアイテムでしょう。
衝撃を吸収する「未来の車止め」?
「コンクリート製の車止めが折られてしまう」というトラブルも定番の一つだそう。そこで、「折れて破損」しないように内部構造を工夫したのが、首都高施設メンテナンス(千代田区)が開発している「鋼製衝撃回転吸収式ボラード」です。
ここでいう「ボラード」とは、パーキングエリアの歩道などに設置されている車止めの杭のことです。担当者によると、特に大型車の駐車エリアなどでは、車両の衝突によってボラードが頻繁に折れてしまい、「直しては壊され、直しては壊される」状況とのこと。
そこで開発された新型のボラードは、単に強度を上げるのではなく、内部にゴム製の部品を内蔵。クルマが衝突すると、ゴムの伸縮性を利用して衝撃を回転力に変換し、力を“いなす”構造になっています。
多くの破損事例は、中心からズレた角度から衝突されて発生するため、この新型ボラードの耐久性は、現在一般的に使われている製品に比べて、大きく向上しているとのこと。担当者は「試験では、2t車が時速40kmでぶつかっても大丈夫でした」と話します。
現在、この製品は開発中の段階で価格も未定ですが、すでに首都高では大黒PAなどでテストを実施済みで、特許も出願中。今後は早期の製品化を目指すそうです。
路面に「アニメ」投影する装置!
スぺースに限りがある道路空間のなかで、「規制の表示が判りづらい、なかなか気づいてもらえない」というのも悩みの一つだそうです。そこで考案されたのが、路面にデカデカと規制情報などを伝えるアニメーション映像を投影できる、高視認性LEDプロジェクターの「LumiPATH(ルミパス)」です。
この装置を開発したのは、自動車用の車載HUD(ヘッドアップディスプレイ)などを手掛ける日本精機(新潟県長岡市)です。HUDで培った光学技術を活かし、「ヘッドランプに負けない明るさ」(同社スタッフ)を実現したといいます。
これにより、ルミパスは高い視認性を確保しただけでなく、従来の装置では難しかったアニメーション付きの情報表示にも対応。作業現場などでは、手前の路面に流れる矢印や「減速」などのテキストメッセージを投影し、遠くからでもドライバーの運転操作をサポートします。2025年11月には、首都高湾岸線の工事現場で実証実験も行われ、ことし2026年からは数量限定での受注も始まっています。
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このように、高速道路の運営に使われる設備や装置は日々進化を続けています。現在では「起こって当たり前」とされている定番トラブルも、近い将来には「改善できるトラブル」へ変化しているかもしれません。