谷村海那「もっと量産できる」 “日本代表効果”が横浜FMの刺激に…主将・喜田拓也「僕らも一緒になって前に進められるようにやっていく」

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 今夏のスティーブ・コリカ監督就任後、チーム状態が確実に改善しつつある横浜F・マリノス。2025年は残留争いを強いられ、今年のJ1百年構想リーグでも13位と苦しんだが、今季は白星が先行し、第9節時点で7位と好位置につけている。

 加えて言うと、9月以降は公式戦無敗。直近のセレッソ大阪戦はスコアレスドローに終わったが、切り替えて14日のルヴァンカップ1stラウンド3回戦・清水エスパルス戦を迎えた。この日は喜田拓也、二田理央、オナイウ情滋らリーグ戦で控えに回っているメンバー中心の陣容でスタート。日本代表帰りの谷村海那はベンチから戦況を見守った。前半は両者ともに固い印象でなかなかフィニッシュまでたどり着かない。シュートはお互いに1本ずつ。得点の匂いがあまり感じられない45分間だった。

 そこで、コリカ監督は迅速にアクションを起こす。後半頭から谷村と諏訪間幸成を投入。最前線に谷村を配置し、前半トップに入ってた二田をセカンドトップにして、しっかり起点を作りながら敵陣を攻略していこうと考えたのだろう。だが、先手を取ったのは清水。F・マリノスは一瞬の隙を突かれて藤井智也にゴールを許し、ビハインドを背負ったのである。

「失点してしまって、普通だったら飲み込まれるところを何とか落ちないようにしようと考えました」とエース谷村は静かに言う。彼自身も愚直にゴールへの道筋を探り続け、待望の瞬間が後半27分にようやく訪れる。始まりはオナイウが左サイドから中へドリブルで持ち運んだプレーだった。パスを受けた谷村はヒールで落とし、横にいた二田に預け、リターンを受けるとダイレクトで右足を一閃。高度なテクニックが凝縮された同点弾をお見舞いしたのだ。

「情滋からもう1個、前に来るかなと思ったんですけど、来なかったので。でも、前半から見ていて『相手DFは人に来るな』と思っていたし、『フリックとかでうまく行けるんだろう』というイメージもできていた。あの瞬間も首を振ってしっかりと見えていたので、うまくいった結果だと思います」と背番号9は独特の嗅覚でもぎ取ったゴールだったことを明かす。

「彼はもともとすごく面白い選手。不思議な選手ですね(笑)。考えていることとか行動言動含め、非常に魅力的な選手だと僕は思っていて、口数は多くないけど、的を射ていることを言うんですね。僕は好きな選手だし、頼りになる選手だと思っています」と喜田も谷村の個性的なキャラクターを代弁。その点取り屋がF・マリノスにもたらすものの大きさを認めている様子だった。単に得点を奪う力が高いだけでなく、ストライカー的なイメージやパッションをピッチで具現化できる谷村。彼の能力を最大限生かすことで、F・マリノスがさらなる躍進を遂げられることを百戦錬磨のキャプテンはよく理解しているのだろう。今回のゴールはその大きな布石になったのではないか。

 実際、この一撃を機にチームは上昇気流に乗り、知念慶の決勝弾が生まれて2−1で逆転勝利。ルヴァン杯4回戦進出を決めた。ここからリーグ3連戦があり、チームとしても天皇杯、ルヴァン杯の国内全タイトルを狙える状況にあるのは、谷村にとってもモチベーションが上がるはずだ。9・10月シリーズの日本代表で共闘した上田綺世や中村敬斗らは国内リーグ・カップ戦と欧州カップ戦を並行して戦っている。過密日程は日常茶飯事だ。特に4連戦で4ゴールを挙げた上田との共闘は大きな刺激になったに違いない。

「日本代表は本当に細かいパスがうまいので、『そこに出すんだ』というシーンがいっぱいあった。自分もそういうイメージでプレーしないといけないと思って、練習から取り組んでいました。F・マリノスだと代表ほどそれが何回もできるわけじゃないけど、今回は少ない回数で仕留めることができました。いつもと違ったゴールのイメージをいろいろ増やして、クオリティを上げていけば、もっと量産できると思うので、そういうのを多くしていきたいですね」と本人も目を輝かせたが、28歳の今が谷村にとってキャリア一番の伸び盛りということなのだろう。

「海那は代表に行って得たものもすごく多いと思うので、それをどんどんチームに投げてほしいですし、僕らも一緒になって前に進められるようにやっていきたいです」とキャプテンの喜田も期待を寄せたが、谷村の“代表効果”が新たな起爆剤になりそうな予感は大いにある。

「今季はコリカ監督が『一致団結』というのをシーズン当初から強調してますけど、練習の中でも勝ち負けにこだわるような集団になっているのは確か。この試合で勝てたことも自信になります」と途中から左サイドバックでプレーした宮市亮も前向きに話した。谷村を中心にグングン成長していくF・マリノスの今後は非常に楽しみ。谷村にはJ1リーグ6得点という現在の数字を着実に引き上げ、得点王のタイトルを狙ってほしいところだ。

取材・文=元川悦子

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