第516話 相続空き家、1年後も空き家85% 空き家が今商機になる理由とは?

今、空き家がビジネスになる理由

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、神社の境内を散歩しながら投資談義を行っています。


神様:今、日本の空き家をめぐる状況が変わりつつあります。まず、日本の総住宅数を見てみましょう。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年の総住宅数は6,504万7,000戸でした。これは、2018年から4.2%の増加となり過去最多です。ちなみに、1973年の総住宅数は3,105万9,000戸ですから、50年で約2倍となっています。

T:日本の住宅は増え続けているのですね。

神様:日本の総世帯数も増え続けています。1973年の総世帯数は2,965万1,000世帯でしたが、2023年は5,621万5,000世帯まで増加しています。

T:単身世帯も増えていますからね。問題の空き家数の推移はどうなのでしょうか?

神様:2023年の空き家数は900万2,000戸と過去最多を記録し、総住宅数に対する空き家率も13.8%と過去最高となりました。2018年と比べると51万3,000戸の増加です。そして、増加率は総住宅数や世帯数の増加率より高く、1993年から2023年までの30年間で約2倍に増えています。

T:空き家の方が住宅数より増えるペースが速いですね。

神様:使用目的のない空き家も386万戸あり、総住宅数に占める割合は5.9%まで上昇しています。おっしゃる通りで、空き家が増える背景には相続の発生や増加する単身高齢世帯の施設への転居などがあります。

T:住宅を相続すると相続税や毎年の固定資産税もかかり負担が大きくなりますから、相続を避けたい人もいるでしょうね。

神様:国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」によると、空き家の約6割は相続されたものであるということです。そして、相続空き家の7割超は1980年以前に建築された住宅で、約6割は所有者の死亡を契機に空き家となっています。また、使用目的のない空き家のうち、1年後も空き家のままであった比率は85%と高水準です。

T:相続した後も空き家は空き家のままにしておく傾向がある、ということですか。確かに、特に使う用途もないのであれば、そのままにしておく人が多いのはわかります。

神様:しかし、一方で空き家のままにしておけば家の倒壊リスクやご近所トラブルにつながる可能性もあり、注意が必要です。管理が行き届かない状態が続けば、家の老朽化により「特定空家」や「管理不全空家」に指定されます。勧告を受ければ、住宅用地特例が外れて固定資産税が大きく増えるデメリットが生じる懸念もあるのです。

T:特定空家、管理不全空家とは何でしょうか?

神様:特定空家とは、2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」で、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態が認められる空家などのことを指します。そして、管理不全空家とは2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法で新設された区分で、今の状態のまま放置すれば特定空家になる可能性のある空き家を指定するものです。

T:放置すれば危険なのが特定空家で、特定空家の一歩手前が管理不全空家ということですね。固定資産税が大きく増えるのは避けたいですから、勧告を受ける前に何か手を打たなければいけませんね。

神様:その通りです。2024年4月からは相続登記の義務化が始まりました。登記の期限は2027年3月末です。登記して特定空家になるのを避けるためにも、登記後の売却が加速することが見込まれます。

T:ということは、空き家を空き家のまま放置するケースが減り、空き家が活用される機会が増えるのかもしれませんね。

神様:一定の条件下で早期に相続した空き家を売却すると、所得税・個人住民税において譲渡所得から3,000万円まで控除される特例措置も設けられています。空き家が売却されることで、空き家をビジネスとして活用する企業の活躍が期待されます。空き家や空き地の利活用、リノベーションやリフォーム、民泊や二拠点生活など、空き家から新たな価値が生まれる機運が高まっています。

T:空き家対策がそのままビジネスチャンスになりますね。今後の動向に注目したいと思います。
(この項終わり。次回10/21掲載予定)

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