11年目の「ルーミー」なぜ絶好調? 販売台数は“116%増” でも「ソリオ」を圧倒…できてない!?

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2016年発売のトヨタ「ルーミー」は、フルモデルチェンジなしで未だに登録車販売ランキングの上位をキープし続けています。より世代が新しいスズキ「ソリオ」などを圧倒している理由は何なのでしょうか。

11年目でも「上位キープ」のワケ

 2016(平成28)年に発売され、ことし2026年8月末には一部改良を受けたトヨタ「ルーミー」とダイハツ「トール」、スバル「ジャスティ」の3兄弟。発売から10年というロングセラーにもかかわらず、いまだに高い人気をキープしています。

 一方、コンパクトサイズのハイトワゴンの元祖といえるスズキの「ソリオ」ですが、2020年にフルモデルチェンジしたにもかかわらず、販売面ではルーミーに大きく水をあけられています。なぜルーミーは、より新しいモデルたちを圧倒し続けているのでしょうか。ジャンル確立の背景を整理しつつ、人気の秘密を考えてみました。

 トヨタルーミーを中心とする一連の兄弟モデルは、ダイハツが開発・生産を行い、トヨタやスバルへOEM供給を行う形式で販売されています。ちなみに、ほかにもルーミーにはトヨタ「タンク」という兄弟モデルが存在しましたが、2020年にルーミーへ統合されるかたちで販売終了となっています。

 前述の通り、背高のコンパクトカーにスライドドアをプラスするアイデアで先行していたのはソリオです。特に2011(平成23)年にデビューした2代目モデルは、軽自動車「ワゴンR」の拡大版だった先代とは打って変わって、独自のプラットフォームを持つ設計に。子育て層をはじめファミリーユーザーのニーズをがっちりと捉えていました。

 その牙城を崩すべく登場したルーミー兄弟は、前年の2015(平成27)年にフルモデルチェンジした3代目ソリオへ正面から対決を挑みました。結果はトヨタ・ダイハツ・スバル陣営の目論見通り、登場するやいなや市場のイニシアチブを奪取。特にトヨタ版であるルーミーは、年間販売ランキングでも上位に食い込む大ヒット作となりました。

 以降、ルーミーは最大のライバルであるソリオを抑え続け、2026年現在もフルモデルチェンジをすることなく、常に売れています。なんとルーミーは、今年上半期の登録車販売台数ランキングで5位に食い込んだうえに、前年と比べても販売台数は116.6%に伸長しているのです。この間にソリオが1度フルモデルチェンジしていることを考えれば、その人気は圧倒的だといえるでしょう。

 ルーミーの強さの理由を考えるうえでまず重要なのが、ルーミー兄弟やソリオの車両タイプそのものに高い人気があるということです。見切りの良い四角いボディと高いルーフを持ち、室内が広く、そのうえ便利なスライドドアを備えるというパッケージングは、現代の日本の道路事情を思えば極めて合理的といえます。

 そしてもうひとつ重要なのが、背の高いボディとスライドドアの組み合わせは、もともと軽自動車の市場競争のなかで生まれたということです。

「軽の市場変化」が波及

 1980年代ごろまでの軽自動車市場では、背が低い3ドアか5ドアの、いわゆる「セダン型」が人気でした。当時のスズキ「アルト」やダイハツ「ミラ」などは、その代表格です。

 ところが1990年代からは、車高が高くて室内の広い、いわゆるハイトワゴンに人気が移ります。スズキはワゴンRを、ダイハツは「ムーヴ」を発売し、競争は激化していきました。そして2000年代に入ると、ダイハツはさらに背を高めた「タント」を発表。タントは2007(平成19)年に2代目へ世代交代すると、助手席側にスライドドアを採用して大ヒットしました。スズキもすぐさま対抗モデルとなる「パレット」(後に「スペーシア」へと移行)を発売し、いわゆる「軽スーパーハイトワゴン」ジャンルが賑やかになっていきました。

 その決定版となったのが、2011(平成23)年にホンダが発売した「N-BOX」でしょう。N-BOXは登場直後から記録的な大ヒットモデルに成長。以後、軽自動車のマーケットでは、背が高いボディにスライドドアを持つ車型が、最も売れるスタイルとなりました。

 そうした軽自動車市場の変化を肌で実感していたスズキは、登録車にも同じ手法を導入。初代はベースのワゴンRと同様の4枚ヒンジドアであったソリオを、フルモデルチェンジに伴って専用設計のスライドドア付きモデルへと転換させたわけです。ソリオはしばしのあいだ、ライバル不在の独自なポジションを確立することに成功しました。

 しかし、トヨタのルーミー/タンク、ダイハツトール、スバルジャスティの登場により、ソリオの独壇場は約5年で終了しました。つまりソリオの登場やルーミー兄弟の台頭は、軽自動車マーケットでのトレンド変化が、四半世紀近い時間を掛けてコンパクトカー市場にも波及してきた結果なのです。

ランキングを分析すると…?

 ではなぜ、設計が古いルーミーのほうがソリオよりも圧倒的に売れているのでしょうか。

 まずクルマそのものを比べてみれば、先進運転支援機能などは、ともにマイナーチェンジと改良の積み重ねによって、最新式にアップデートされています。

 一方、設計の新しい現行ソリオはマイルドハイブリッド化されているのに対し、ルーミー兄弟は電動化されていません。走行性能も、排気量1Lのターボまたは自然吸気エンジンを積むルーミー兄弟に比べて、排気量1.2Lのエンジンとマイルドハイブリッドを持つソリオのほうが、パワーでも燃費でも優れるのは明らかです。

 ルーミーやトールがソリオに勝る点は、第一に全長が少し短く、最小回転半径が4.6mと、ソリオの4.8mよりも若干小回りが利くことです。また、ルーミーは税込み価格が183万400円から、ソリオは192万6100円からと、エントリーモデルで比較すればルーミーのほうがお手頃です。

 ただし、設計が古く、ソリオと比べてハードウェア面でのアドバンテージが少ないルーミーのほうが売れる最大の理由は、やはり「トヨタ」ブランドの威力、そして販売力の強さでしょう。トヨタの販売力がどれほど強いのかは、同じクルマを売っているダイハツの販売成績と比較すれば一目瞭然です。

 たとえば、ルーミーやトールの発売直後となる2017(平成29)年の年間販売ランキングで比べれば、トヨタルーミーは11位のところ、ダイハツトールは33位です。2021年のランキングでは、ルーミーは2位に入っていますが、このときもトールは37位に留まっています。

 こうした差は、同じ2社間のOEMモデルであるトヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」を見ても同じです。同じクルマであっても、トヨタが売れば何倍も多くの台数が売れるのです。

 ではスズキとダイハツの2社で比較するとどうでしょうか。軽自動車市場におけるスズキの立場は、ダイハツとほとんど互角。スズキの販売力は、ダイハツとそれほど変わらないと見てもいいはずです。実際に販売台数ランキングでは、ソリオは2017年に23位、2021年に17位へランクインしています。両陣営の戦績を、ダイハツトール対スズキソリオに変えてみれば、その勝負はスズキの“勝ちっぱなし”です。

 つまり、圧倒的に販売力で勝るトヨタの力があるからこそ、ルーミーは常にソリオを圧倒することができているのです。もしルーミー兄弟とソリオの対決を、よりフラットに分析するならば、ダイハツとスズキでの勝負の結果が本当の実力差なのではないでしょうか。