自衛隊の「16式」とコンセプト激似!? 台湾オリジナル「装輪戦車」かなり重いワケ 性能&運用を徹底解説

航空機産業 世界的な拡大続く

台湾が独自開発を進める105mm装輪戦闘車「猟豹」。陸上自衛隊の16式機動戦闘車とそっくりな外観とスペックを持ちながら、重量はあえて7tも重く設計されています。その理由を探ります。

「猟豹」の開発経緯と量産計画

 2026年9月23日、台湾軍の陸軍南測中心(南部部隊訓練統合測定評価センター)において、105mm装輪戦闘車量産型の性能展示が行われました。

これは台湾が独自開発した既存の8輪式装甲車「雲豹」の派生型です。2000年代から構想されていた車両ですが、具体的な開発は2019年からで、軍備局第202廠、第209廠、中山科学研究院などが分担して進められました。

 D1、D2試作車で105mm砲搭載を実証した後、車体、砲塔、内部配置から再設計された本命として新設計されたのがD3試作車です。2025年の台北国際航空宇宙・国防工業展で披露されており、今回はD3を基礎とする量産型が公開実弾射撃を実施しました。

 台湾軍での公式呼称は「105公厘輪型戰車(105mm装輪戦車)」ですが、「猟豹専案」という開発コードから「猟豹(チーター)」というニックネームが定着しています。今後は、量産に向けた最終修正が施された後、2027年にまず8両が先行生産され、以降、2033年までに合計178両を調達する計画となっています。

国産装甲車を目指した「猟豹」の中身

「猟豹」の車体サイズは全長約8m、全幅約3m、全高約2.9mで、数値的には日本の16式機動戦闘車とほぼ同じ大きさです。D2試作車までは全高が3.3mあったので、大幅に設計が改められた模様です。

 エンジンはD3になって450馬力から600馬力級に強化されたとのこと。「猟豹」は「国車国造」つまり国内主体での自主開発というコンセプトを重視していますが、このエンジンはキャタピラー製ディーゼルとの報道もあります。もっとも、「国車国造」とは、必ずしも全構成部品を台湾製にするという意味ではなく、台湾内で組み立てるということなので、構成部品に外国製があっても問題はないのでしょう。

 主兵装は台湾国産の105mm低反動ライフル砲で、搭載弾数は33発。他に遠隔操作式の12.7mm機関銃と、主砲と同軸に搭載された7.62mm機関銃、車長用の独立式照準器を備えています。

 なお、台湾軍備局では、この105mm低反動ライフル砲のために新開発した装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)について、射距離2000mで500mm厚の均質圧延鋼板を貫通する能力があると説明しています。

16式機動戦闘車との比較

 量産化された「猟豹」は、台湾軍でどのような役割を果たすのでしょうか。軍関係者、開発筋からは、金門島などの外島(離島)部隊や、台湾東部の花蓮、台東など花東地区の陸軍部隊に優先的に配備されるとの説明が地元メディアにされています。その目的のひとつに、既に退役したM41D軽戦車の代替が期待されているようです。

 とはいえ、台湾軍で長らく使われているM60A3や、台湾独自のハイブリッド戦車であるCM11「勇虎」などの、105mm戦車砲搭載の戦車を全面的に置き換えるものではありません。2024年末に導入されたM1A2T「エイブラムス」主力戦車とは別立ての、高速道路機動が可能な直射火力部隊の装備となることが期待されている模様です。

 この観点において、比較対象として最も近いといえるのが陸上自衛隊の16式機動戦闘車でしょう。外寸はもちろん、スペック面でよく似ている両車ですが、重量では7tもの差があります。16式が空輸を含む戦略機動を重視したのに対し、「猟豹」は33tまで重量を許容した設計です。

 中国本土と向き合う台湾の西岸一帯は、上陸に適したポイントが複数あるうえ、台湾の発展に伴って高度に都市化された地域が増えています。なので、まず有事の初動では、西岸の発達した道路網を利用して上陸正面へ急行し、敵の水陸両用戦闘車や歩兵戦闘車、応急陣地などを105mm砲で撃破します。その上で、狭い街路が入り組む市街地において、「猟豹」の小回りと路上機動力が役立つと想定されているのです。

 このような運用ならば、日本のように航空輸送を考慮する必要がありません。従って「猟豹」は空輸の制約を受けず、大重量を許容した設計と見るべきでしょう。