「ガザは人間が生きる場所でない」=停戦発効1年、復興進まず―UNRWA清田局長インタビュー

航空機産業 世界的な拡大続く

 【カイロ時事】2023年10月に始まったイスラエル軍の大規模軍事作戦で荒廃し、7万4000人以上の死者が出たパレスチナ自治区ガザでは、昨年10月10日の停戦発効から1年たつ現在も復興が進んでいない。合意後もイスラエル軍が多くの地域を占拠し、攻撃も続いているためだ。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長は時事通信のオンラインのインタビューに応じ、「ガザはますます人間が生きる場所ではなくなっている」と強い危機感を表した。
 イスラエル軍は現在、合意で定められた範囲を超え、ガザの約7割を掌握しているとされる。住民約200万人は残りの3割の地域に封じ込められ、多数がテント生活を送る。物資搬入の制限で医薬品などの不足が続き、停戦後も皮膚疾患などの感染症が立て続けに流行する劣悪な衛生状況は変わらない。清田氏は「住民の生活環境が崩壊している」と話す。
 食料については合意後、一定程度流通しているものの「貧しい住民には行き届かず、栄養失調もなくなっていない」という。停戦前の昨年8月、ガザの中心都市ガザ市の一帯で飢餓が深刻化したが、UNRWAがその際栄養失調に陥った乳児を追跡調査したところ、発語や歩行に遅れが出る事例が確認されている。「戦闘行為が減っても、子供の苦境は続いている」状況だ。
 2月末に始まった米イスラエルのイラン攻撃で、国際社会の関心がガザから一気に遠のいたことも大きな懸念材料だ。清田氏は、ガザの人々が「誰も助けてくれないという思いを抱いている」と語る。
 ガザでは、停戦合意後も権力を握るイスラム組織ハマスが武装解除の姿勢を示すものの、これに懐疑的なイスラエルが撤退を拒否。トランプ米大統領の主導で策定された和平計画の進展は困難な状況だ。米国が資金拠出を停止するUNRWAは和平計画の枠組みから排除されているが、現地で長年培ってきた組織力を背景に活動を続けている。 
〔写真説明〕オンラインのインタビューに応じる国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長=9月25日