価格調整をした疑いがあるとして公正取引委員会がビール大手4社に強制調査に入った7日、各地の愛飲家や飲食店の間に「残念」「信頼していたのに」との困惑が広がった。各社横並びの価格が疑問だったという人からは「やっぱり」との声も。物価高が続く中、晩酌の主役を巡る疑惑に、さまざまな受け止めが広がった。
多くの飲食店が立ち並ぶ東京・上野。アメ横近くの居酒屋では、昼間からビールを楽しむ人の姿があった。毎日、自宅で3缶ほど飲むという埼玉県ふじみ野市の女性(43)は、各社の価格がそろっていることに以前から疑問を感じていたといい、「やっぱり」と驚いた様子はなかった。
「想定していなかった」と声を上げたのは、近くの酒販売店の男性社員。「大手のメーカーだから信頼していた」と表情を曇らせた。
東京・有楽町のJR有楽町駅近くのビアホールは、仕入れ値が上がっても他のメニューを工夫し、ビールの提供価格を据え置いてきたという。男性店長は「飲食店はメーカーに対して何もできない。値上げするにしても透明性があればいいのだが」と肩を落とした。
国内のビール醸造の歴史が深い札幌市でも落胆が広がった。市内のビール博物館を訪れた京都府の男性(71)は「大手が4社しかないからあり得ると思っていたが、残念だ」と話した。
大阪市西成区のスーパーでビールを購入していた無職男性(70)は、毎日2缶飲み続けているといい、「物価上昇で生活が苦しい中、不当に値上がりしていたとしたら困る」と憤った。
一方、発泡酒を手に取った同市浪速区の清掃業岡村和行さん(57)は「事実ならよろしくないが、値上げされても買わざるを得ない」と半ば諦めた様子。疑惑を苦々しく受け止めながらも、日々の一杯はやめられないようだった。