「前で仕事をしろと言われたらやれる」主将・堂安律が2列目起用に一発回答! 約1年ぶりのゴールに「背番号10の意味も自分自身理解している」

カリフォルニアロール誕生はいつ

 9・10月シリーズ4連戦のラストとなった10月5日のニュージーランド代表戦。キリンカップサッカー2026決勝ということで、日本代表としてはタイトルを獲得し、いい形で3カ月後に迫ったAFCアジアカップ2027につなげる必要があった。

 同時に、ここまで3試合で2桁に到達しなかったシュート数を引き上げ、引いて守る相手を確実に攻略して勝ち切ることにも取り組まなければならなかった。大きな命題に真っ向から挑んだのが、キャプテンに任命された堂安律だった。「そもそもシュート数が減っている。そこが自分の課題ではあると思う。特に1試合目(ウルグアイ戦)はシャドーで使ってもらった中で、シュートシーンが少なかった。もっと攻撃のところはやっていきたいと思います」と背番号10は前日にも強調し、大いなる闘争心を燃やしていた。

 これまでとは違う“ギラギラ感”が見て取れたのが、開始早々の50秒の強引なミドルシュートだった。遠目からドリブルで敵をかわして左足を思い切り振り抜くと、5分後にも右の大外から左足でミドルを放つ。この日の堂安は2018年に代表デビューした頃のような、いい意味でのエゴを前面に押し出していたのだ。

「(昨日)煽られた質問をされたので(笑)。僕自身、常に毎試合ゴールを狙うことが自分の強みだと言っている中で、点が取れていないもどかしさを感じていた。チームのやりたいことと、自分の強みを照らしあいながら、やってきたつもりですけど、今回はウイングとして使われたので、意図を汲み取ってやりました」。堂安は森保一監督が約2年ぶりに『4−2−3−1』布陣を採用し、その中で自身を2列目右サイドで使った狙いを頭に叩き込み、グイグイとゴールに迫っていったのだ。

 FIFAワールドカップ2026にも参戦したニュージーランドの『5−4−1』守備ブロックは強固で、日本はチャンスを作りながらも、なかなかゴールをこじ開けられなかった。苛立ちが募る展開の中、前半28分に中野就斗のクロスの流れからエースFW上田綺世が巧みな抜け出しから左足でゴール。ようやく一歩リードしたが、この3分後には前田大然のパスミスから得意のカウンターを繰り出され、瞬く間に同点に追いつかれてしまった。

 1−1で折り返した後半、日本はさらに攻撃のギアを引き上げたが、どうしても均衡を破れない。そこで指揮官は19分に伊東純也ら切り札3枚を投入。これまでの森保監督であれば、3バックに戻して伊東をシャドーに入れ、堂安を右ウイングバックに動かすような采配を見せてもおかしくなかったが、この日は伊東を右サイドバックに配置。堂安は右FWから動かさずに前で起用し続けたのだ。

「監督と僕は普通よりも深いストーリーがあると自分は感じています」とも本人は語ったが、指揮官の「点を取ってくれ」というメッセージをハッキリと受け取った。そして後半26分についに待望の瞬間を迎える。中村敬斗が左から切れ味鋭いドリブルで左ポケットを取った瞬間、背番号10は迷わず右からゴールに詰め寄り、右足を一閃。森保監督の期待に一発回答で応え、チームに勝利をもたらす2点目を引き寄せたのだ。

「これはウインガーだったからこそ、(中に)入れるゴールだった。敬斗に感謝したいですね」と本人は2025年11月のガーナ代表戦以来の得点に力を込めた。これが決勝点になったのだから、喜びはひとしおだっただろう。実際、これまでの堂安は右ウイングバックが主戦場だったこともあり、献身的守備とハードワークを求められてきた。それは日本を勝たせるためには必要不可欠な役割だったが、時に最終ラインまで下がって守り続ける自分を冷静に客観視して「俺はアタッカーや」と叫びたくなることもあったのではないか。

「自分の能力を疑ったことはないので、使われたらやれるという中での落としどころ(の難しさ)が正直、あった。ウイングバックというポジションもやりがいや楽しさを感じていて、充実してましたけど、4バックに変わって、『前で仕事をしろと言われたらやれる』というのは自分の中でも言い聞かせていた」。堂安はこうも語ったが、長い長い葛藤の中から献身性とエゴのバランスの最適解をようやく自分なりに見出したのではないか。堂安の一撃で日本はPK戦を含めて4連勝を飾り、キリンカップサッカーで優勝。アジアカップにも大いに弾みをつけた。

「たかが1試合なので、それほど大きく評価されることはないとは思いますけど、定期的にこうやって結果を出したいですし、この背番号10の意味も自分自身理解しているので。だからこそ、葛藤は大きくなっていく一方ですけど、しっかり結果を出さないといけない。自分にそう言い聞かせながらプレーしていますし、逃げるつもりもないです」と堂安はエースの矜持を改めて口にした。

 これまでの身を粉にした頑張りのご褒美とも言える代表通算12点目を奪ったことで、アタッカーとしての自信を深め、輝きを増していくはず。ここからどんどん数字を重ね“守れて動けてフィニッシュも決められるマルチ型の10番”という新たな理想像を確立すべく、ここからも前進を続けてもらいたい。

取材・文=元川悦子

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