1990年代のダートトラッカーブームの影響から、2002年に発売されたのがカワサキ・250 TRです。ブーム終焉期の発売、なおかつ特筆すべき性能もないながら、長く支持を得たのは、何が魅力だったのでしょうか。
ダートラブーム終焉期に発売となった250TR
1990年代のバイクシーンでは、ヤマハ・TW200やホンダ・FTR250といったモデルを“ダートトラッカー”風にモデファイするカスタムブームが到来しました。それまでの日本のシーンにはあまりなかった「ファッションとバイクの融合」によって、若者の間で巻き起こった現象でした。
ブーム絶頂期の2000年には、木村拓哉氏がテレビドラマ『Beautiful Life』でTW200のカスタムモデルに乗り、さらに話題となりました。これら一連のブームを受けて発売されたのがカワサキ・250TRでした。
TW200、FTR250よりもさらにシンプルなダートトラック・レーサーを感じさせるモデルでしたが、その発売時期は2002年。すでに『Beautiful Life』の頃を境にブームは終焉に向かっており、若者の間に限っては、さほど支持を集めなかったモデルでもありました。
ただし、TW200、FTR250といったダートトラックブームの代表的モデルに乗るのはちょっと照れくさいような「少し大人のユーザー」からの250TRの評価は高く、結果的に2013年の生産終了まで11年間ものロングセラーモデルとなりました。
250TRの高評価の理由は、1970年発売の2ストロークのデュアルパーパスモデル、250TRバイソンの後継モデルだったこと、そして、すでに高評価を得ていたカワサキ・エストレヤのエンジンなど共用部品が多く扱いやすかったことなどが挙げられるでしょう。
ノーマルのままでも十分カッコ良い250TRは、その期待に応えるかのようにほぼ毎年、新色を追加していき、ダートトラックブームが下火となった後も、このバイクにしかない特別な魅力を放ち続けました。
また、当時の国産バイクの同排気量の中では最長となるロングストロークを誇り、速さよりトルク性能を優先し、トコトコとのんびり走りたいユーザーにとっては唯一無二のモデルとして支持を集めました。
ネット浸透時代によく見た「250TR病」「カワサキ病」とは?
ところで、250TRが発売された時代は、インターネットが急速に浸透した時代でもあります。この時勢の中でバイクに関するユーザー同士の情報も盛んに交わされることとなったわけですが、そこでよく目にしたのが「250TR病」「カワサキ病」なるワードです。
これらは、250TR特有の不調を指す言葉でした。「減速時にアイドリングが不安定になりエンストする」「1速に入れようとするとエンストする」「2007年モデル以降のインジェクション車での不具合」などなど。
「排気ガス規制をクリアさせるために、キャブレターのガソリン設定をかなり薄めにしている」といった説も交わされるようになり、尾ひれはひれがつき「250TR=扱いにくいバイク」といった見方も少なからずあったようです。
しかし実際のところ、250TRに対する重大な欠陥はなく、同時代・同排気量のバイクに比べて極めてシンプルさを追求したモデルがゆえのマイナートラブルにすぎないものも多かったようです。
特にバイク歴の長いユーザーの間では、シンプルがゆえの250TR特有の持病も範疇内として親しまれたのも事実で「完璧すぎない楽しさ」も図らずも持ち合わせていたモデルでもあったと言えましょう。
中古物件としても「優良!」
無数にあるカラーリングの多さも手伝い、250TRの中古車相場は比較的値崩れしない傾向にあります。
また、前出のTW200、FTR250などはカスタムされまくったためにコンディションが芳しくない個体も多いですが、その点、250TRはこの2モデルに比べれば、カスタム度が低く、ノーマルに近い優良個体を見つけやすいのも特徴です。
現行モデルのバイクの進化ぶりは目を見張るものがありますが、構造自体が古めでもシンプルなバイクが良いといった向きに、真っ先にオススメしたいのが250TRです。
大きく、2002〜2006年までのキャブモデル、2007〜2013年までのインジェクションモデルの2タイプがありますが、いずれも旧車としては扱いやすい部類の250ccモデルと言って良いと思います。
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