潜水艦を支える宮崎県の「巨大アンテナ群」実は唯一無二の自衛隊施設だった! 老朽化で更新へ

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スマホの電波が届きにくい海中で、潜水艦はどうやって司令部からの連絡を受けるのでしょうか。その通信を支えるのが「超長波」という特殊な電波。これを送るため、宮崎県には海上自衛隊唯一の巨大送信施設があります。

宮崎にある“海自唯一”の巨大施設

 海中に身を隠し、隠密に行動することが潜水艦の最大の武器であり、重要な任務です。しかし、そこには「外部との連絡をどう確保するか」という大きな課題が存在します。

 そもそも、私たちが普段利用するスマートフォンやテレビなどの電波は、海水中ではほとんど役に立ちません。海水は電気を通しやすい性質を持つため、一般的な無線通信で使われる周波数の高い電波は、水中に入ると急激に弱まってしまうのです。

 この問題を解決する鍵が、「超長波(VLF)」と呼ばれる特殊な電波です。国際電気通信連合(ITU)の資料によると、VLFは周波数が3~30キロヘルツ、波長が約10kmから100kmにも及びます。この周波数の低い電波であれば水中にもある程度届くため、潜水艦への通信に利用されています。

 とはいえ、超長波による通信には大きな制約があります。まず、送れる情報量が極めて少ないこと。周波数が低いため、映像や長い文章を送るような用途には全く向きません。

 さらに、この通信は基本的に陸上の送信所から潜水艦へ情報を送る“一方通行”です。潜水艦が自ら電波を発信すると、その位置を敵に探知されるリスクがあるため、任務中の発信は極力抑えられます。

 極端に情報量が少なく、しかも一方通行。それでもこの「超長波」を送信するためには、非常に大規模な設備が必要となります。日本においてその役割を担っているのが、宮崎県えびの市にある海上自衛隊の「えびの送信所」です。

 ここは海上自衛隊で唯一の超長波送信所であり、設計や建設に携わった電気興業によると、その敷地面積はなんと東京ドーム55個分。MRT宮崎放送が報じたところでは、施設内には高さ160mから270mに達する巨大な鉄塔が8本もそびえ立っており、国内でも他に類を見ない規模の空中線施設となっています。

 日本の海の守りを人知れず支えているこの重要施設ですが、運用開始から約30年が経過し、設備の老朽化が課題となっています。防衛省は今年(2026年)6月、現在の隣接地に移転すると発表しており、これに関連して前出の電気興業も、代替となる「潜水艦放送系送信設備」の新設に向け、2023(令和5)年度から基本設計が始まっていると説明しています。

 防衛省は2028年度までに詳細な設備設計や配置場所などを検討するとしています。