黙秘続けた被告、尋問機会なし=富山交番襲撃、遺族「罪と向き合って」―差し戻し審5日から

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 富山市で2018年、交番を襲撃して警察官を刺殺し、奪った拳銃で警備員を射殺したとして、強盗殺人などの罪に問われた元自衛官、島津慧大被告(30)の差し戻し裁判員裁判が5日、富山地裁(結城真一郎裁判長)で始まる。被告は差し戻し前の一審法廷で一貫して黙秘しており、今回はそもそも被告人質問が予定されていない。
 「無期懲役を望みます。被告には罪と向き合い、主人に謝れるようになってから人生を終えてほしいからです」。犠牲となった警備員中村信一さん=当時(68)=の妻は5日の初公判を前に、報道各社に寄せたコメントで心境をこうつづった。「私は心の傷や衝撃や喪失感をこの先もずっと背負って生きていきます。被告にも、私が生きている間は苦しみを背負って生きてほしい。被告が事件と向き合う可能性があると信じているので懸けてみたい。生きて罪を償ってほしい」と記した。
 中村さんに代わり最後まで見届けたいという妻は、黙秘を続ける被告に「せめて名前ぐらいは言ってほしい」と訴える。
 被告は自暴自棄の末、自衛隊での能力が通用するか確かめるため、交番で稲泉健一警部補(警視に特進)=同(46)=を襲ったとされる。捜査段階で当初、「警察官を殺してその人が持っている銃を取って、また次の警察官、そのまた次というふうに殺して回ろうと思っていた」などと供述したが、途中から黙秘に転じ法廷でも無言を貫いた。
 差し戻し審では強盗殺人罪の成立を前提として、刑事責任の程度や動機、経緯などを踏まえ、量刑が主な争点となる見通し。審理は予備日を除き計14回で、これまでの証人尋問のDVD再生を中心に進められる。11月16日に結審し、判決は12月8日に言い渡される。
 差し戻し前の一審は21年、襲撃前に拳銃を奪う意図があったとするには疑いが残るとして、殺人と窃盗罪を適用し、死刑求刑に対し無期懲役とした。一方、二審名古屋高裁金沢支部は22年、「当初から拳銃強奪を意図していたとみるのが自然だ」として一審を破棄。強盗殺人罪の成立を前提に量刑を審理するよう差し戻し、最高裁も支持した。 
〔写真説明〕事件があった富山市内の交番=2018年7月撮影