2026年8月の大雨で室蘭本線が被災し、貨物列車の「代行輸送」が行われました。過去には普段使われない路線での列車の「迂回運転」も行われてきましたが、制約の大きさも浮き彫りになっています。
室蘭本線が運休→貨物は「代行輸送」
2026年8月27日からの大雨により、JR北海道の室蘭本線が被災して約2週間運転を見合わせました。このため、室蘭本線を走る貨物列車も運行を見合わせ、トラックや船による代行輸送が行われました。
貨物列車の代行輸送では、トラックや船のほか、普段は走行しないルートを使って迂回運転が行われたこともあります。ここでは、過去に行われた貨物列車の迂回運転を3つ紹介します。
有珠山噴火 函館本線「山線」への迂回輸送
2000年3月の有珠山噴火により、JR北海道の室蘭本線長万部~東室蘭間が不通となった際、函館本線の「山線」と呼ばれる長万部~小樽間を経由した貨物列車が運行されました。この時は迂回輸送の対応が早く、3月31日から6月までの約2か月間運行されています。
室蘭本線では本州と北海道を結ぶ貨物列車が運行され、普段は最長で20両の貨車(コンテナ車)が連結されています。函館本線の山線への迂回輸送にあたり、貨物列車1本あたりの貨車の数は10両に制限されました。山線は単線で、途中駅での列車の行き違いを行うために列車の長さを抑える必要があるためです。
また「山線」と呼ばれるように、この区間は勾配が厳しく、室蘭本線の10パーミル(1km走って10m上り下りする坂)に対して25パーミルの勾配があります。このため、貨物列車を牽引する機関車を2両連結した重連で運行され、ディーゼル機関車のDD51形が使用されました。
貨物列車の長さに制約があったことに加え、単線区間で迂回輸送を行ったことで列車の本数を増やすことができず、一般の普通列車を運休にして対応していました。それでも貨物列車の輸送力が足りず、「船舶代行」と呼ばれる船による迂回輸送と「トラック代行」と呼ばれるトラックによる迂回輸送を組み合わせて対応していました。
平成30年7月豪雨 山陰本線の迂回輸送
2018年に発生した「平成30年7月豪雨」では、広島地区に大きな被害をもたらしました。この際、JR西日本の山陽本線が長期に渡って不通となったため、山陽本線の倉敷~新山口間を迂回する形で、伯備線・山陰本線・山口線経由の貨物列車が運行されました。
列車は岡山貨物ターミナル駅(岡山市)~幡生操車場(山口県下関市)間で運行され、米子駅(鳥取県米子市)や益田駅(島根県益田市)を経由して新山口駅(山口市)で山陽本線に戻るという運行ルートでした。
山陽本線は電化されて電気機関車が使用されていますが、迂回ルートでは伯備線と山陰本線の一部が電化されているだけです。このため、迂回ルートのうち岡山貨物ターミナル駅~米子駅間では電気機関車のEF64形が、米子駅~幡生操車場間ではディーゼル機関車のDD51が使用されました。
この迂回列車は2018年8月28日から運転がはじまり、貨車(コンテナ車)を6~7両連結して1日1往復が運行されました。当初は9月末で運行を終える予定でしたが、2018年の台風24号の影響により、山口県内の山陽本線で土砂流入が発生したため、10月12日まで延長されました。
ただ、この迂回列車でも輸送できたのはごく一部で、大半の迂回輸送は船舶代行とトラック代行の組み合わせで対応していました。
東日本大震災 磐越西線の燃料輸送
2011年3月の東日本大震災は東北地方の鉄道に大きな被害をもたらし、JR東日本の東北本線を走る貨物列車も長期間運行を見合わせています。被災地では著しい燃料不足に陥りました。このため、首都圏から新潟経由で燃料輸送を行うべく、磐越西線を利用した臨時の燃料輸送列車(石油輸送列車)が運行されました。
磐越西線経由の燃料輸送列車は、2011年3月25日から4月16日の間に運行されました。区間は、精油所のある根岸駅(神奈川県横浜市)から上越線経由で新潟貨物ターミナル駅(新潟市)を通り、磐越西線経由で油槽所のある郡山駅(福島県郡山市)まで。列車には、燃料を搭載した貨車(タンク車)を20両連結し、根岸~新潟貨物ターミナル間は電気機関車のEH200形が牽引していました。
新潟貨物ターミナル駅では列車を2本に分割して10両ずつとなり、磐越西線は電化されていないためディーゼル機関車のDD51形が牽引しました。運転された時期には雪が降っていたため、ディーゼル機関車のDE10形を補機として後ろに連結して後押ししたこともありました。
東北地方では普段、首都圏と仙台から郡山までと、仙台から盛岡まで石油輸送列車が運行され、いずれも東北本線を経由しています。東日本大震災では盛岡にも燃料輸送の迂回列車が運行され、こちらは根岸駅から新潟・秋田・青森を経由して盛岡貨物ターミナル駅にある油槽所まで運転されました。
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貨物列車の運行を担当するJR貨物では、大雨や地震などによる災害によって貨物列車の運行ができない場合のBCP(事業継続計画)対策を強化する取り組みを進めています。今後は、船舶代行とトラック代行の組み合わせでスムーズに代行輸送を行う方針で、普段から貨物列車が多数運行されている路線以外で迂回輸送を行うことはなくなりそうです。