「リクライニング声掛け論争」に終止符も 工夫が盛りだくさんの“サメ肌”リニア新車両が公開! 足元スペースは広々

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JR東海はL0系改良型試験車の新しい中間車「M10」を公開しました。

L0系改良型試験車の新しい中間車「M10」が公開

 JR東海は2026年9月29日、山梨リニア線で報道関係者向けの乗車体験会を実施し、L0系改良型試験車の新しい中間車「M10」を公開しました。車内は座席リクライニング機能が廃止され、軽量化や閉塞感の軽減など、各所に工夫が凝らされた車両となっています。

 リニア中央新幹線は最高時速500kmで東京~名古屋~大阪を結び、品川~名古屋間は最速40分、品川~大阪間は最速67分となる見込みです。

 JR東海はリニアの開業に向け、山梨リニア線で2013年からL0系、2020年からはL0系改良型試験車による走行試験を重ねてきました。

 山梨リニア線での1日あたりの走行距離は最大2000kmに及び、これは東海道新幹線1編成の1日平均走行距離(約1600km)を上回るペースです。

 新しい中間車「M10」は、L0系改良型試験車をさらにブラッシュアップし、環境負荷低減などに関する開発成果を反映した車両です。設計は日立製作所と日本車輌製造、製作は日立製作所が担当。既存のL0系改良型試験車やL0系と連結し、2025年夏から走行試験を開始しました。

「M10」は、サメ肌を模した微細な溝構造の「リブレットフィルム」を車体表面に貼り付けています。さらに台車周りの形状を最適化して、空気抵抗を16両換算で約1%削減し、消費電力の低減を図っています。

 外観デザインは従来の試験車から一新されました。無塗装のシルバーボディに、高速に流れる光をイメージしたゴールドのラインが配されています。

 車内には、東海道新幹線の青い座席とは異なるオレンジ色の座席が並び、航空機のような小さな窓や、最小限に抑えられた荷棚が特徴的です。また、車内の壁には膜が張られており、防音性も高められています。なお、窓が小さいのは、車体の強度を保ちながら軽量化を図る目的があります。

足元に広いスペースを確保できたワケ

「M10」のシートピッチ(座席の前後間隔)は980mm、座席幅は477mmです。これに対し、新幹線N700系普通席はシートピッチが1040mm、座席幅は440mm(3人掛け中央のB席のみ460mm)となっています。

 リニアは新幹線より車体が一回り小さいため、シートピッチこそ狭いものの、2列+2列のシート配置を採用したことで、座席幅は新幹線グリーン車(480mm)とほぼ同等を確保しています。

 980mmというシートピッチは、JR東日本のミニ新幹線車両や一部の私鉄特急でも見られますが、これらと比べても「M10」の座席の足元は非常に広く感じられます。

 その理由は座席の構造にあります。リクライニング機能を設けると座席が大型化してしまうため、あらかじめリクライニング角度を人間工学に基づいた15度に固定。背もたれを非常に薄くしています。リクライニング角度が調整できないものの、リクライニングをめぐるトラブルはなくなりそうです

 また、テーブルは新幹線のような背面テーブルではなく、インアーム式(肘掛け収納型)を採用して軽量化を図っています。座席の背面にはドリンクホルダーもなく、足元に出っ張る部分がありません。

 スーツケースなどの大きな荷物は荷棚ではなく足元に置くことが想定されており、それに必要なスペースがしっかりと確保されています。自動座席展開機能も設けられており、座席のスリム化が進んだことで、コンパクトなモーターで展開が可能になったといいます。

 山梨リニアセンターの古賀俊作 所長は「この車両で最も工夫されている部分は座席です。座席の軽量化が車両設計時の一番の課題でした」と話します。

 車内のもう一つの特徴が、天井に表示するプロジェクションによる車内演出です。これにより、車内の閉塞感が軽減されています。現在は市販のプロジェクターが使用されていますが、開業までによりコンパクトなものが搭載される見込みです。

 乗車体験会では最高速度500km/hでの走行も実施されましたが、さほど新幹線と変わらない安定した乗り心地でした。今後もリニアの開業に向け、超電導リニア技術の低コスト化や快適性の磨き上げが進んでいきます。