SNS中傷、慰謝料増へ議論=民法見直し、法務省が研究会

タクシー市場拡大の”鍵”とは?

 山下貴司法相は29日の記者会見で、民法が定める不法行為法制の見直しに関する研究会の初会合を30日に開催すると発表した。SNSで誹謗(ひぼう)中傷によるプライバシーなど人格権の侵害が深刻化していることを踏まえ、慰謝料の引き上げや差し止め請求の要件明確化を議論。未成年者への不法行為に対する損害賠償請求の時効も論点となる見通しだ。
 民法709条は「故意か過失によって他人の権利を侵害した者は、損害を賠償する責任を負う」と規定。法務省によると、関連条文は1896年の民法制定時から大きく変わってはいない。近年、インターネット上で肖像権や声の権利を含む人格権侵害が問題となっているが、裁判をしても被害に比べて慰謝料が低く「救済が十分ではない」との指摘があった。
 通常、慰謝料は過去の判例を参考に裁判所の裁量で決定される。研究会では被害の内容や行為の悪質性など、考慮すべき事項を法律に明記することが検討課題となる。
 一方、差し止めは民法に規定がなく、どのような場合に請求できるのか不明確だ。このため、判例を踏まえて差し止めが可能な要件を整理する方向。死亡後の人格権保護も議論する。
 生命、身体への侵害に対する損害賠償請求権の時効は5年。未成年が性被害を受けた場合、事実を打ち明けられるようになるまで時間がかかるケースが少なくない。刑事訴訟法は2023年の改正で、未成年の性犯罪被害者が成年になるまでの期間を時効に算入しないとしており、研究会ではこれを参考に議論する見通しだ。
 研究会は民法の専門家や弁護士、裁判官ら10人で構成し、座長には山本敬三早稲田大教授が就く。月1回程度のペースで開催。法務省は研究会の意見がまとまれば、法制審議会に諮問する方針だ。