「涼しくなってきたから“車内置き去り”でも大丈夫でしょ」→ゾッとする…どれだけヤバいか実験してみた

雨で需要が増える業界と言えば?

停めているクルマの中の温度上昇には、猛暑のピークが過ぎ去った9月から10月にも注意が必須です。秋のアウトドアには絶好の涼しい日において、車内の温度はどれくらい上がるのか。実験を行いました。

秋の行楽日和こそ気をつけたい「車内の暑さ」

 昨年に続いて連日の猛暑が予想された2026年の夏ですが、今度は一転して雨や曇りの日が続いています。夏場から秋口にかけて、クルマに関して何よりも気をつけたいことといえば「車内への置き去り」ですが、今年は昨年までに比べ、9月に入ってからの残暑も厳しくないことから「このくらい涼しくなれば、もうそれほど気をつけなくていい」と考える人もいるかもしれません。

 しかし、そんなことはありません。9月に入り、外の最高気温が20度台後半くらいの心地いい気候になっても、車内に物や人、ペットなどを置き去りにすることは非常に危険です。

 今回筆者(坂上猛禽:ライター)は、秋の比較的涼しい行楽日和にクルマで公園へ来た、というシチュエーションを想定。車内に置き去りにしてはいけないものを3時間ほど放置してしまった場合、車内の温度がどれくらい上昇するか、実際にデータを取ってみました。

 実験は9月中旬、関東近郊のとある公園の駐車場で実施しました。天候は曇りのち晴れでしたが、実際には雲に覆われ、陽射しが照りつけるような場面はほとんどありませんでした。また気温は最高で27度、最低20度というコンディションで、日中は外にいてもほとんど汗をかくことなく過ごせる、まさにレジャーにはもってこいの1日でした。

 実験では主にチョコレートやグミ、飴といったお菓子類を用意。また置く場所や状況は、日射が直に当たるようダッシュボード上に置いた場合と、お菓子類をアルミの保冷バッグ(保冷剤はなし)に入れて助手席に置いた場合の2パターンを設定しました。

 入れるお菓子はどちらも同じもので、車内温度はそれぞれの付近に設置した温度計付きのデジタル時計で計測します。温度計も実験対象のひとつだと考えれば、電子機器に生じる影響も検証できるでしょう。もちろん、実験中は車両側の電源やエアコンをオフにして、窓は閉めきった状態を保ちました。

 エアコンを効かせたクルマでやってきてから車両電源をオフ、それから実験の準備をするのに15分が経過。実験開始時には、すでに車内の温度は30度ほどに達していました。とはいえ、筆者もこの時点では「これほど穏やかな天気なら、いきなり温度が上がることはないだろう」とタカをくくっていました。

 しかし、それこそが大きな油断であったとすぐに気づかされました。実験開始からわずか30分で、なんとダッシュボード上の温度計は48度を表示していたのです。もともと、ダッシュボード上は熱気を集めやすい場所ではありますが、この時点でこれほどの高温なら、車内は蒸し風呂一歩手前のような、過酷な環境になっていることが容易に想像できます。

温度計が先にギブアップ!?

 そして、さらに30分後(開始から1時間)というタイミングでは、予想外のトラブルも発生しました。ダッシュボード上の温度計の画面が、黒ずんで解読不能になったのです。

 後に、この温度計は仕様上最高50度までしか測れないことが判明したのですが、これでは車内の温度がわかりません。筆者は急きょ編集部のクルマで付近のホームセンターへ行き、100度まで計測可能な水銀の気温計を調達。計測を再開しました。

 不測の事態はありましたが、なんとか当初リミットに設定した3時間が経過し、実験は終了。車内温度は最終的に、ダッシュボードの上で約56度、アルミの保冷バッグの中で39.5度に達しました。ドアを開ければ、それまで車内に籠もっていた熱気が一気に筆者へ襲いかかります。

 置いていたお菓子類は、どんな状態になっているのでしょうか。まず、インパネに置いていた粒状のチョコレート菓子はすべて溶け、ほとんどが1つの大きなかたまりになっていました。グミも同様、つい3時間前は小さくて可愛いキャラの形だったものが、触れば糸を引くゲル状の物体に。これには思わず「わァ……あ……」という声が漏れました。唯一無事だったのは飴のみ。こちらは表面が少しベタついていたものの、問題なく食べられるレベルでした。

 一方、アルミの保冷バッグに入れたお菓子はというと、やはりチョコレート系は全滅。また、飴がほぼ変わりない状態だったのも同じですが、グミは無事でした。キャラの威厳は保たれた形です。

 さて、実験を踏まえて注目したいのは「9月中ごろ、最高気温が27度で曇りの日であっても、車内の温度はすぐに40度前後になりかねない」ということです。食品類は当然のこと、子どもやペットなどの置き去りはもってのほかです。

 特に子どもの車内置き去りは、暑さがピークとなる7月から8月にかけて例年各地で事故が発生していますが、「真夏が終わったからもう大丈夫」ということはありません。実験結果の通り、秋にさしかかる時期であっても、わずか30分で車内温度がたちまち上昇し、命に関わる危険な状態となります。

 また、当初用意したデジタル温度計の画面が50度で表示不能になったことを考えれば、電子機器にも相応のダメージが入ることでしょう。昨今、発火による事故の多発が社会問題となっているモバイルバッテリーも、とあるメーカーの公式サイトでは「保管温度範囲は0~35度」と明記されています。「秋口になっても、車内に人やペット、発火の危険があるものを残してはいけない」と、最後に改めて強調しておきます。