【ニューデリー時事】ネパールと中国の国境地帯で起きた土石流災害から26日で1カ月。両国合わせて1496人が犠牲となり、ネパールを訪れた日本人家族5人を含め計6000人超の行方が依然分かっていない。遺体の多くは傷み身元確認も遅々として進まない中、復旧・復興への道のりは遠い。
ネパール当局は今後の生存者発見は絶望的とみて、近く捜索活動の打ち切りを検討している。政府は被害が大きかった川沿いの住民の高台移住も計画中だ。
「通常の洪水ではなく『ヒマラヤ津波』だ」。ネパールのカナル外相は母国を襲った未曽有の災害をそう表現した。研究者グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」によると8月26日、ネパールの高峰ランタン・リルンの標高5150メートル付近の斜面から大量の岩石や氷河が約1400メートル下まで崩れ落ちた。崩落範囲は約2平方キロに及ぶ。
急速に斜面を下った際の摩擦などが氷河を溶かし、莫大(ばくだい)な融解水が発生。洪水は約200キロ下流の地点まで到達し、国境を越えたインドでも犠牲者の遺体が見つかった。
WWAは災害を引き起こした要因として、2015年に起きた大地震の影響や温暖化、永久凍土の融解や高地での降雨量の増加を挙げた上で、気候変動が崩落箇所の地質の不安定化に作用した可能性が高いと結論付けた。
ネパール政府は被害総額を約26億9500万ドル(同4260億円)、復旧・復興に必要な総額を約47億7500万ドル(同7550億円)と試算。基幹産業である観光業にも相次ぐ宿泊キャンセルといった影響が及んでいる。
〔写真説明〕ネパールと中国の国境地帯で起きた土石流災害で損壊した住宅=24日、ネパール中部ヌワコット郡(AFP時事)