熊坂光希「W杯の舞台に自分も立ちたい」 大ケガ乗り越え日本代表復帰「自分の特徴を出して生き残っていければ」

タクシー市場拡大の”鍵”とは?

「熊坂(光希)選手は代表活動中に右ひざ前十字靭帯断裂という大ケガをさせてしまった。トレーニング中の事故ということでしたが、自分が見させていただいている中でのケガで、復帰できるかどうかも分からない中で復帰できて、J1の舞台で活躍してくれていることを本当に嬉しく思います」

 9・10月の日本代表4連戦に向け、17日に行われたメンバー発表会見。森保一監督が心から喜んだのが、熊坂の再招集だった。指揮官も言及した通り、リカルド・ロドリゲス監督体制で頭角を現した185cmの大型ボランチは、FIFAワールドカップ2026出場権獲得後の2025年6月に初めて招集され、チャンスを与えられるはずだった。

 ところが、6月5日のオーストラリア代表戦を終えて大阪に移動してきた直後の練習で負傷。インドネシア代表戦で初キャップを飾る予定が幻となってしまった。「本当に辛く長いリハビリ期間だった」と本人もこの1年を思い返していたが、天国から地獄に突き落とされながら、何とか這い上がってきたのが今なのだろう。

「今季の柏は非常にいい戦いをしていて、上位グループの中に入っている。その中で彼はチームをいい流れに乗せる活躍をしていますし、中盤のポジションから存在感を放ってプレーできている」とも森保監督は高く評価したが、FC町田ゼルビアとの上位対決でも背番号27はまさにそういう仕事ぶりを見せていた。柏は16日にAFCチャンピオンズリーグエリート初戦の全北戦で1−2の苦杯を喫し、移動を伴う中3日で敵地に赴いた。しかも、台風の接近による豪雨に見舞われる中の試合ということで、厳しい環境なのは間違いなかった。

 それでも、柏は序盤から一方的にボールを支配。熊坂も中盤の底にどっしり構えて攻守の舵取り役を担い、的確な配球や相手の攻撃の芽を摘む鋭い守備を要所要所で披露した。「全北も強度が高い相手で、そこで出た課題を町田戦でもしっかり生かせたかなと。内容もすごくよかったと思います」と本人も前向きに言う。

 柏としては、前半にワンチャンスから相馬勇紀に先制点を献上した点だけはいただけなかったが、後半に瀬川祐輔と渡井理己が入ってからは一気に流れを引き寄せ、わずか12分間に3ゴールを固め取りした。この時間帯に相手に退場者が出たのも幸いしたが、終わってみれば4−2の圧勝だった。リカルド・ロドリゲス監督が「私がレイソルの指揮を執り始めてから、最も素晴らしい試合の一つ」と胸を張るほどの内容。熊坂も温存のために早めに下がるなど、余裕ある戦いぶりだった。ここから代表合流する熊坂にとっては、弾みのつく一勝だったに違いない。

「代表で選ばれているボランチの中でも自分はサイズのある方だと思うし、そういうところでしっかり自分の特徴を出して、生き残っていければいいと思います。本当にレベルの高い選手が揃っているので、いろんなものを吸収して、自分をもっともっとレベルアップさせていかないといけない。向上心を持って取り組みたいですね」

 町田戦の後、熊坂は闘争心を燃やしていた。実際、彼がサバイバルに挑むボランチ陣は猛者が揃っている。ワールドカップメンバーの鎌田大地、田中碧、佐野海舟がいて、今季移籍したPSVで評価を上げている佐野航大、年代別代表常連だった松木玖生、欧州5大リーグデビューを飾ったばかりの田中聡と多彩な面々が並ぶのだ。この中で熊坂は国際経験値が一番乏しいが、伸びしろは大きい。本人が言うように185cmというサイズを備えている。森保監督も大型ボランチの必要性を以前から感じている様子で、熊坂のようなタイプを積極的に使ってみたかったのだろう。

「ワールドカップを見て、本当に心が揺さぶられるものがあったし、ああいう舞台に自分も立ちたいなと強く思いました。その中で自分がどうやって代表に選ばれるのか。今いるボランチと差別化できるのかを考えていましたけど、それを今回の代表活動で出していけたらなと思います」

 本人も独自性や個性にこだわって練習・試合でアピールしていく構えだ。そのためにも、まずは自分から代表の輪の中に入っていくことが肝要となる。前回の活動時は柏ユースからの同期・細谷真大がいたため、自らアクションを起こさずに済んだようだが、今回面識があるのはユース時代に一つ下だった小久保玲央ブライアンくらい。他の選手は事実上「はじめまして」の状態だけに、人見知りな性格の殻を破っていく必要もある。日本代表は「俺が俺が」というエゴイストが集まる場所。だからこそ、強靭なマインドが求められる。熊坂にとっては心身両面で自分を変えていく絶好の機会。今こそ爪痕を残すしかない。

取材・文=元川悦子

【ハイライト動画】柏レイソルが4発!FC町田ゼルビアは初黒星