なぜ同じ場所を“2回”攻撃? 犠牲者拡大を目論む冷酷な理由 人道上の問題も

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同一目標を時間を空けて二度攻撃する戦術が、近年の紛争で問題視されています。なぜなら“効率的”に犠牲者を増やそうとする冷酷な手段だからです。

救護者を狙う非人道的な攻撃

 戦闘において一つの目標に対して二度の攻撃を加える「ダブルタップ攻撃(Double tap strike)」という戦術があります。近年では、イスラエル軍やロシア軍による攻撃をめぐる報道で頻繁に用いられるようになりました。第一撃で目標を破壊し、時間を置いて同一地点へ再び攻撃を加えるというその攻撃パターンには、通常の再攻撃とは異なる意図が含まれる場合があります。

 航空攻撃における再攻撃そのものは、決して特殊なものではありません。最初の爆撃によって目標の破壊が不十分だった場合、戦果確認の結果に基づいて追加攻撃を実施することは、航空戦における標準的な作戦行動です。問題となるのは、第一撃によって生じた状況そのものを利用し、第二撃の標的を生み出す場合です。

 建造物や車両が攻撃を受ければ、その周囲には変化が生じます。消防隊、救急隊、警察、軍・治安部隊、住民、報道関係者などが被害現場へ集まり、負傷者の搬送や消火、捜索、被害状況の確認が始まります。攻撃側がこうした人員の集中を把握したうえで再攻撃を実施すれば、第一撃とは異なる人的損害を発生させることが可能になります。

 軍事的に見れば、そこには二つの効果があります。一つは救助・医療・消防などに従事する人員そのものへの損害であり、もう一つは被災地域の対応能力を削ぐ効果です。救急隊員や医療従事者が死傷すれば、目の前の救命活動だけでなく、その後の負傷者への対応能力まで低下します。さらに、救助活動そのものが危険だという認識が広がれば、現場への接近をためらわせる心理的効果も生じます。

 ただし、同一地点が二度攻撃されたという事実だけから、全ての第二撃の目的が救助隊や民間人の殺傷だったと断定することはできません。再攻撃には第一撃による破壊が不十分だった、別の軍事目標が確認された、標的情報が更新されたなど、複数の可能性が存在します。

ロシア軍やイスラエル軍がたびたび実行

 ダブルタップ攻撃における最大の論点が国際人道法です。武力紛争では、軍事目標と民用物を区別する「区別原則」、予想される軍事的利益に対し民間人被害が過大であってはならない「均衡性」、さらに民間人への被害を避けるための「予防措置」が求められます。

 また、戦闘能力を失った負傷者や、敵対行為に参加していない救護要員などには特別な保護が認められる場合があります。したがって、攻撃者が救助要員や負傷者の存在を認識したうえで、彼らを攻撃すること自体を目的として第二撃を実行したのであれば、重大な国際人道法違反となり得ます。

 現代戦においては人工衛星、無人機、ネットワークなどによってリアルタイム映像が取得できるようになりました。攻撃側は目標だけでなく、その周辺で何が起きているのかを短時間で把握できる場合があります。かつて航空攻撃の時間軸は「発見、作戦立案、攻撃、戦果確認」という数日を要する比較的長い循環でした。しかし現在では、そのサイクルそのものが分単位にまで高速化しています。

 また精密誘導兵器によって特定の目標をピンポイントで破壊することも難しくなくなっています。これらの能力の発達は攻撃後の戦場を再び観測し、そこに発生した新たな状況を次の攻撃へ結び付ける能力まで高めたと言えます。

 ロシアによるウクライナ侵攻では、ミサイルや無人機による攻撃の後、救助要員などが現場に到着した段階で再攻撃が行われたとして、ウクライナはたびたびロシアを非難しています。最近でも2026年8月21日には、ウクライナ中部のクルィヴィーイ・リーフ市内のショッピングセンターがダブルタップ攻撃を受けたと、ウクライナは主張しています。

 またイスラエル軍によるガザ地区やレバノンに対する攻撃をめぐっても、二度目の攻撃が救助関係者や住民、報道関係者を意図的に殺傷したとの批判が提起されています。