コメ値下がりに募る危機感=5キロ3000円割れで生産者

雨で需要が増える業界と言えば?

 コメの店頭平均価格が、2年ぶりに5キロ3000円を下回った。肉や卵、野菜などの価格が高水準で推移する中、食卓を支える主食のコメの値下がりは家計にとっては朗報だ。半面、急激な下落に対し、生産者は危機感を募らせている。
 コメ価格は2024年7月まで、1000円台後半から2000円台前半で推移していた。ところが同年8月の南海トラフ地震臨時情報の発表などを契機に、コメが品薄となる「令和の米騒動」が起き、価格は高騰。26年初めに4416円の最高値を付けた。その後、需給が緩和すると下落基調に転じ、9カ月間で2500円近く値を下げた。
 今年の新米は、集荷時に生産者に前払いされる「概算金」が昨年を大きく下回ったため、価格の下落は当面続く可能性が高い。秋田県大潟村でコメを生産・販売する黒瀬友基さん(49)は、昨年の価格が「上がりすぎたのは事実だ」とした上で、「(米騒動前は)ずっと安値だったので、それを基準にされると困る」と語る。
 宮城県石巻市にある大規模農業法人の橋浦義博副組合長(70)も、「経費が上がっている中で、ここまで下がってしまうのは安すぎる」と指摘。イラン情勢の緊迫化などもあり、燃料や肥料、コンバインなどの耕作機械の価格は大きく値上がりしている。加えて、昨年度の高騰による増収で、今年度の税金負担も増した。
 島根県出雲市で大規模農業法人を営む森脇康博代表理事(73)は、「小売価格が3000~3500円くらいあれば(何とか)経営を回していけるということを、消費者にも理解してもらいたい」と訴える。最低賃金の上昇で、人件費も経営の重しになっているという。
 現在の値下がりは、コメの民間在庫量が過去最大規模まで膨らんでいることが背景にある。今後どこまで下落が続くかは、生産や消費の動向のほか、政府備蓄米の追加の買い戻し時期など、さまざまな要因に左右されることになりそうだ。 
〔写真説明〕2025年産米の在庫を見る黒瀬さん=3日、秋田県大潟村
〔写真説明〕田んぼを前にする大規模農業法人の橋浦副組合長(中央)=9日、宮城県石巻市