「クルマが水没! ドアが開かない!?」命を守るための脱出方法とは? ゆっくり沈む車内で慌ててはいけない?

タクシー市場 拡大傾向が続く

台風や豪雨災害で必ず目にするのは、水につかって動けなくなったクルマです。万が一そうした状況に遭遇してしまった場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。

クルマが水没した! 脱出する方法は?

 2026年は台風や集中豪雨などが全国的に発生し、幹線道路のアンダーパスや、氾濫した川の近くの道路が冠水し、クルマが水没して立ち往生する事故や、死亡事故も発生しています。こうした危機的な状況になった場合、どのようにすればよいのでしょうか。

 日本自動車連盟(JAF)は、冠水した道路でクルマが水没して立ち往生した後、あっという間に沈んでしまう危険性を指摘しています。ドアが30cmくらいまで水に浸かると、もはや水圧でドアが開けられなくなってしまうそうです。また、電気系統がショートし、電動のパワーウインドウも開かなくなることがあると指摘しています。そうなると、さらに脱出は困難になります。

 ドアが開かなくなった場合は、クルマのガラスを割って脱出するしかありませんが、これも大変です。

 JAFが過去に行った「水没した車内で何を使えば窓が割れるか」という実験では、女性ドライバーが席に座った状態で、傘の先端やスマートフォン、小銭を詰めたビニール袋などで叩いても割ることはできませんでした。完全にクルマの窓ガラスを割ることができたのは、金槌タイプ、ポンチタイプ、小型ポンチタイプなどの脱出用ハンマーのみという結果になりました。

 クルマのガラスは、飛散防止や衝撃への耐性を高めるため、同じ厚さでも通常のガラスより3~5倍割れにくい強化ガラスになっています。そのため、狭い車内で動きが制限された状態では、ヘッドレストの差し込み金具など、先端の尖ったものでもガラスを割るのは困難になるようです。

 また、正面のフロントガラスは、飛散防止のため特殊なフィルムが入った合わせガラスが採用されており、特に割れにくくなっています。そのため、緊急時に割ることは控えたほうがいいようです。

 JAFはさらに、水没時にはシートベルトも外れない可能性があるとして、シートベルトを切るカッターも備わっている脱出用ハンマーを常備しておくことを推奨しています。

 ガラスを割ることができない場合は、ある程度水位が上がるまで待つしかありません。JAFの調査では、水位が30cmから120cmまでの状態で、車内に空気が残っている場合は、水深にかかわらず車外の水圧によってドアが開かなかったものの、車内に浸水した後は車内外の水圧差が小さくなり、水深120cmでもドアを開けられるという結果が出ました。

 現在のクルマはフロントにエンジンを搭載している車両が多いですが、その場合、水没すると前部が最初に沈み込み、前傾姿勢となります。そのため、前方は水没していても、後方はそれほど水没していない場合が多く、慌てず落ち着いて行動することが肝心のようです。

脱出した後はどうする!?

 脱出した後も、安全だとは限りません。JAFは、冠水路から避難する場合、いきなり水の中に入るのではなく、片足を浸けて水深を確認し、ゆっくりと両足をついて、進んできた方向に戻るよう案内しています。冠水した道路では、濁った水によって道路の状況が分からず、マンホールのふたが外れていたり、側溝などに転落したりする危険もあります。

 また、水の量が多すぎて足がつかない場合などもあります。仮にそのような状況になった場合、乗用車は水没すると前方が沈みやすいため、窓から出た後はボンネットではなく車の屋根へ上がり、救助を要請するか、安全な場所へ移動することが推奨されています。浮力があるからといって、車内に留まり続けるのは危険なようです。

 とはいえ、豪雨中に脱出することはかなり危険です。政府広報では、水害時には自動車で移動しないことを呼びかけており、国土交通省でも、冠水する可能性のある道路やアンダーパスを避けるよう呼びかけています。不要不急の外出をしないことが、最も危険を回避する方法であることは間違いありません。