【ベルリン時事】ドイツで今月行われた東部ザクセン・アンハルト州議会選で惨敗した保守与党キリスト教民主同盟(CDU)内で、同党党首のメルツ首相の交代論が強まっている。20日に実施される地方選次第で、退陣が避けられなくなる可能性もある。旧東独で勢いを増す極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が政権与党を翻弄(ほんろう)している。
メルツ氏は昨年5月の首相就任以来、安定した統治でAfDの支持率をそぐことを至上命令としてきた。しかし、先の州議会選では、単独過半数に迫る大勝だったAfDと対照的に、CDUは得票率を半分以上減らした。
もともと政権支持率は20%を割り込み、今夏には党人事でつまずくなど著しく求心力が低下していた。今回の大敗で「メルツ降ろし」の動きが一気に表面化した。
ただ、首相交代への道筋は不透明だ。メルツ氏は「あきらめる選択肢はない」と自らは退かない考えを強調している。その場合、議会が別の首相候補を選出する「建設的不信任」を突き付けるしかない。一方、CDUに所属する8市州の市長・州首相は16日、「(メルツ)首相と共に課題に取り組む」との共同声明を発表。この中には次期首相候補に取り沙汰される州首相も含まれており、交代論の火消しを図った格好だ。
政局のヤマ場は20日の首都ベルリン市(州と同格)と北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州の議会選。いずれもCDUの苦戦が予想される。特に旧東独の同州では、CDUの結党以来初めて州レベルで議席ゼロとなる恐れがある。
報道によると、メルツ氏は20日夜に党有力者を集め、選挙結果を踏まえて信を問う構え。来週にはニューヨークでの国連総会出席を予定していたが、急きょ訪米を取りやめた。党の安定に全力を尽くすためとみられる。
次期首相候補には、西部ノルトライン・ウェストファーレンや南部バイエルン、中部ヘッセンの各州の州首相の名前が浮上している。
〔写真説明〕ドイツのメルツ首相=15日、ベルリン(EPA時事)