老舗みそ店、再建模索=工場被災で廃業も検討―中小企業の被害1300億円・熊本地震

雨で需要が増える業界と言えば?

 7月の地震で最大震度6強の揺れを観測した熊本県八代市では、1914(大正3)年創業のみそ店「丸屋商店」も被災した。添加物を使わない伝統的な製法で110年以上にわたりみそを造り続けてきた工場が損壊し、一時は廃業も考えたというが、地域の励ましを受け再建を誓っている。
 7月28日、激しい揺れに襲われ、工場の土壁が崩落。みそ造りに欠かせない機械も壊れた。5代目の夫と共に切り盛りする丸木果歩里さん(39)は「工場は戦争を乗り越え、10年前の地震や度重なる豪雨災害でも持ちこたえていたのに」と肩を落とす。
 「直すのにいくらかかるのだろう」「いつ復旧できるのか」。地震から1週間後、先行きが見通せない中、従業員4人には退職してもらうほかなかった。同店で造るみそは、市内の幼稚園や小中学校の給食にも使われ、地域に親しまれる味と自負してきたが、親族からも「借金や大変な思いをしてまで続けなくてもいいのでは」と言われ、廃業を考えた。
 そんな中、電話やSNSなどを通じて顧客から「いつまでも待っているから頑張って」といった励ましが届いた。「もう1回立ち上がらないといけない」と力が湧いた。「自分たちの代で終わってしまったら、後悔し続ける人生になる」と再建を決意。クラウドファンディングなども活用して資金を調達する計画を立てている。
 こうした苦境に直面する中小企業は、丸屋商店だけではない。県によると、今月10日時点で、商工業関連の被害7881社、総額1559億円のうち、中小企業が7745社、1339億円を占める。
 中でも、地震や豪雨などの度重なる自然災害やコロナ禍による多重ローン問題が深刻だ。最大震度7を観測した宇城市の商工会では、会員に小売業や飲食業者が多く、今回の地震が追い打ちとなって廃業を決めた事業者もいるという。
 県は9月、県内の中小企業などの施設・設備の復旧に向けた新たな支援策を発表。10年前の地震による債務が残っているなど、一定の条件を満たす事業者には最大15億円を補助する。木村敬知事は「多くの事業者が制度を利用できるよう調整していく。例外措置も用意している」と柔軟に対応する姿勢を示した。 
〔写真説明〕地震で被害を受けた原料を蒸す釜と丸屋商店の丸木果歩里さん。土台にひびが入り、中に入っていた大豆約600キロなどは廃棄処分となった=8月25日、熊本県八代市
〔写真説明〕みそだるを見詰める丸屋商店の丸木果歩里さん=8月25日、熊本県八代市
〔写真説明〕地震で崩れた丸屋商店の工場の土壁=8月25日、熊本県八代市