次のハンビーは無人? 兵士が無防備に車両に乗る場所はもう戦場に存在しない!? 米老舗メーカーが描く軍用車の未来とは

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アメリカ軍を象徴する軍用車が無人化する理由とは

 ウクライナの戦場では、無人車両が重要な役割を果たしており、物資輸送や負傷兵の搬送などに活用されています。この動きはアメリカでも意識されているようです。

フランス・パリ近郊で2026年6月末に開催された防衛装備展示会「ユーロサトリ」では、アメリカの老舗軍用車メーカーであるAM Generalが展示した無人地上車両(UGV)のコンセプト車両が来場者の注目を集めました。

 AM Generalといえば、湾岸戦争やイラク戦争などで活躍し、アメリカ軍を象徴する軍用車両として知られる高機動多用途装輪車「ハンビー(HMMWV)」の開発・製造元です。その同社が今回披露したのは、兵士が乗り込むことを前提としない新しい軍用車両でした。

 展示されたUGVは、Textron SystemsおよびCarnegie Roboticsと共同で開発されたもので、遠隔操縦だけでなく自律走行にも対応します。250馬力のディーゼルエンジンを搭載し、約2.7トン(6000ポンド)の物資を積載できるほか、負傷兵搬送(CASEVAC)や兵站輸送、偵察、対ドローン装備の搭載など、多様な任務に対応できるモジュール化設計が採用されています。

 また、展示車両には遠隔操作式銃塔(RWS)も装備されており、将来的には対ドローン任務への活用も視野に入れていることがうかがえました。かつて「兵士を運ぶ軍用車」を数多く送り出してきたメーカーが、今度は「人が乗らない軍用車」を提案したことは、現代戦の変化を象徴する展示といえるでしょう。

ドローン時代の新たな輸送車とは?

 AM Generalが無人輸送車を開発した背景には前述の通り、ウクライナ戦争で急速に変化した戦場環境があります。FPVドローンや偵察ドローンが戦場の至る所を飛び交う現在では、戦車や装甲車だけでなく、弾薬や食料を運ぶ補給車両も格好の攻撃目標となっています。

 特に前線への補給任務は、敵偵察ドローンや待ち伏せ自爆ドローンの監視下を移動しなければならない危険な仕事です。そのため、補給や負傷兵搬送といった高リスク任務を無人車両に担わせ、兵士の危険を減らそうという考え方が広がりつつあります。

 実際、ウクライナでは各種UGVが実戦投入され、補給や負傷兵搬送、地雷原での資材運搬などに活用されています。こうした戦訓を受け、NATO加盟国でも無人地上車両への関心が高まっており、AM Generalも新たな需要を見据えて欧州市場へ提案したものと考えられます。

 かつてアメリカ軍を象徴する軍用車両だったハンビーは、「兵士を乗せて走るクルマ」の代名詞でした。しかしドローンが戦場の様相を一変させた現在、兵士を守るためには「あえて人を乗せない」という選択肢が現実味を帯びています。ハンビーを生み出したメーカーが無人車両を打ち出したこと自体、軍用車両の未来が新たな時代へ移りつつあることを物語っているのかもしれません。