寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」は、2026年3月のダイヤ改正で下り列車の東京発が21時50分から21時26分に繰り上がりました。この影響はあるのか、実際に乗車してみました。
発車時刻が34分繰り上げ
1998(平成10)年から運行されている寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。基本的な運行形態に大きな変化はありませんが、2021年のダイヤ改正で東京発が22時から21時50分に変わり、さらに2026年のダイヤ改正で21時26分に繰り上がりました。これは夜間の保守作業時間を拡大するためです。
東京→米子間で比較すると、客車時代(1998年廃止時)の寝台特急「出雲3号」は東京21時10分発→米子9時28分着でした。現行の「サンライズ出雲」は東京21時26分発、米子9時5分着ですから、所要時間だけを見ると電車化による速達効果が薄れたようにも感じられます。
時刻繰り上げによって利用しやすくなった静岡や浜松で乗車が増えたのか――といったダイヤ改正による影響を探るべく、7月の火曜に「サンライズ瀬戸」で東京から姫路まで移動しました。
当日、JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」では満席と表示されており、相変わらずの人気です。時刻繰り上げの影響は感じられません。
シャワーカードを購入するため東京駅に20時頃行くと、駅の電光掲示板に「シャワー故障によりサンライズ瀬戸の共用シャワーは使用不能」という案内が出ています。「サンライズ出雲」の側に回ってみると、すでに40人ほどの列。カードは20枚程度で売り切れるため、今から並んでも買えそうにありません。
車両の老朽化がこうした設備故障に出ているのだと実感します。列車1本の定員は「瀬戸」「出雲」を合わせて316人ですが、需要自体は確実にあるため、新車投入か徹底的な設備の更新をしてほしいものです。
ダイヤ改正後も変わらぬ人気
筆者(安藤昌季:乗りものライター)が「サンライズ」に乗る際は、最もコストパフォーマンスが高いと考えるB寝台個室「ソロ」の上段席を利用しますが、たまには違う設備を利用してみたいと思い、今回は1号車1番のB寝台個室「シングル」を発売開始と同時に予約購入しました。平屋室で天井が高く、かつ東京発だと進行方向に体を向けた時に背中側にテーブルが来ない唯一の個室です。
向かいに別の個室もなく、個室の前を通り抜けする乗客もいないため、「シングル」の中ではベストの部屋だと感じます。
これまで個室幅の広い階上室の「シングル」を選ぶこともありましたが、平屋室は違った印象です。窓の高さが駅のホームと同じで外からよく見えるため、個室内をあまり乱雑にはできない感じがしますし、ちょっとした着替えの際もカーテンを下ろすのが新鮮です。1号車1番個室は、進行方向側の壁面にテーブルがあるため、モバイルWi-Fiを充電しつつ、駅弁を食べるのもとても楽でした。高い天井も余裕を感じさせます。
走行中の車内では「本日は満席です」との案内が流れます。ミニラウンジは閑散としていました。いつもは雑談したり、食事をしたりしている人が多いので意外です。シャワーが故障して使えないため、ミニラウンジで待つ人も少ないのかもしれません。
自分の個室に戻りゆったりしていると、22時35分頃、小田原駅を通過中にいわゆる「おやすみ放送」がありました。22時57分発の熱海、23時16分発の沼津、23時32分発の富士は乗降がなく、23時59分発の静岡で3人乗車、0時54分発の浜松で乗車はありませんでした。1998年の運行開始時は静岡0時20分発、浜松1時13分発だったため、発車時刻が繰り上がった現在は若干利用しやすくなったとは思いますが、乗降客数に大きな変化は感じられませんでした。
なお、列車はゆっくり走るため、乗り心地は良好です。少なくとも筆者は、個室が台車の上にあるから揺れて眠れないとか、騒音がとても大きいという感じはしませんでした。
翌朝の到着時刻はダイヤ改正前と変わらず、あとはいつもの「サンライズ」です。車内を見た印象は、平日でも客層がビジネス利用中心というよりも「サンライズに乗ること自体が目的」の客層にシフトしており、予約状況を見ても今回の乗車ではダイヤ改正の影響はないように感じられました。