米海軍が「改もがみ型」導入を検討――日本は“あて馬”か? チャンスはあるのか? 大混迷の次期フリゲート計画

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アメリカ海軍が同盟国からフリゲートの導入を検討中。日本の「改もがみ型」も候補に挙がるその背景と、計画の混迷ぶりを解説します。

新型フリゲート中止→警備艇を転用→それもやめて「外国製を入れる」のか?

 アメリカ海軍協会のニュースサイト「USNI News」は2026年9月1日、同海軍が同盟国から既存のフリゲートの導入を検討しており、その中には日本がオーストラリアに提案して採用を勝ち取った「改もがみ型」も含まれていると報じました。

 このニュースの背景には、アメリカの新型フリゲート導入計画の混迷があります。そして日本にとってこれは“チャンス”なのでしょうか。

 アメリカ海軍は2026年9月現在、タイコンデロガ級巡洋艦、ズムウォルト級駆逐艦とアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦、LCS(沿海域戦闘艦)のインディペンデンス級とフリーダム級の4種類の水上戦闘艦を運用しています。

 対テロ戦や海賊対策などの非対称戦を想定して開発されたLCSは、国家対国家の正規戦に投入するには兵装が貧弱です。タイコンデロガ級は老朽化のため順次退役が進んでおり、半ば実験艦の扱いになっているズムウォルト級は3隻と数が少ないことから、他国ではフリゲートに分類される水上戦闘艦が行っているパトロールなどの任務をアーレイ・バーク級が行っています。

 そのアーレイ・バーク級は能力的には申し分ないのですが、他国のフリゲートに比べると大きく、それ故に運用コストも馬鹿になりません。このためアメリカ海軍はイタリアの造船企業であるフィンカンティエリが提案した「FREMM」(イタリア海軍での呼称はカルロ・ベルガミーニ級フリゲート)をベースとする設計案に基づくコンステレーション級フリゲートを整備する方針を固めていました。

 実際に1番艦「コンステレーション」は起工にこぎつけていたものの、開発・建造の大幅な遅延と、それに伴うコストの高騰に見舞われたことから、アメリカ海軍は2025年11月25日にコンステレーション級の整備計画を中止しました。「コンステレーション」と2番艦「コングレス」のみは建造を続行し、その後は「より迅速に建造できる新しい艦艇クラスに注力する」方針を明らかにしています。

 そこで、アメリカ海軍のジョン・フィーラン長官は2025年12月19日に、コンステレーション級フリゲートに代わる新たなフリゲートとして、アメリカ沿岸警備隊が運用するレジェンド級カッター(警備艇)の設計に基づくフリゲートの建造を指示しています。

 ただ、レジェンド級のフリゲート化を不安視する声も少なくありませんでした。船体強度の面や、任務に応じて兵装コンテナを載せ替える「ミッション・パッケージ」に兵装を依存する設計になりそうなことからです。ミッション・パッケージはLCSで不具合が多く発生していました。

だから「外国製を入れる」のが合理的

 2026年9月現在、レジェンド級カッターをフリゲート化する計画が放棄されたとの報道はありませんが、アメリカ海軍は不安を感じていたのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 本来自国の海軍で運用する軍艦は自国で開発するのがベストなのですが、アメリカの船舶の開発能力は著しく低下しており、フィーラン海軍長官がレジェンド級をベースとするフリゲートの建造計画を発表した際に述べた「より迅速に建造できる新しい艦艇クラス」という条件を満たすのは困難と考えられます。

 このため、既に設計が確立されている同盟国のフリゲートをベースとする新型フリゲートを導入しようとアメリカ海軍が考えるのは、自然なことだと言えます。

「あて馬」でも大きいインパクト!?

 USNIはフリゲートの候補として、日本の改もがみ型と、韓国の忠南(チュンナム)級フリゲート、トルコのイスタンブール級フリゲートが候補として名前が挙がっていると報じています。イスタンブール級以外はまだ実艦がありませんが、いずれもアメリカ海軍の要求を充たせると筆者は思います。

 外国製設計の艦をアメリカ海軍が導入する場合は連邦議会の承認が必要になりますので、実現するのかが不透明ではあるものの、仮に実現するとすれば、韓国が俄然有利でしょう。

 USNIは2隻のみを開発国で建造し、その後アメリカで建造することも検討されていると報じています。忠武級5番艦の建造が決まっている韓国の造船企業ハンファ・オーシャンはアメリカのフィリー造船所を買収していますし、アメリカの造船大手ハンティントン・インガルス・インダストリーズは忠武級の1番艦を建造するHD現代重工業とのあいだで船舶建造協力を強化する契約を締結していますので、アメリカ国内での建造移行もスムーズに行えるのではないかと思います。

 国内政治の問題で実現するのかは不透明ですが、韓国はホルムズ海峡への艦艇の派遣も検討しており、これも有利な要素になるかもしれません。

 こう書くとトルコと日本はただの「あて馬」に見えるかもしれません。しかしトルコにはロシア製防空システム「S-400」の導入で冷え込んだアメリカとの防衛協力関係が改善されていることを大いにアピールできますし、日本の場合、そもそも10年前では考えられなかった日本製フリゲートの導入を、アメリカ海軍が検討しているということ自体、他国に与えるインパクトは大きなものがあります。

 アメリカ海軍の準公式機関紙のUSNIに名前が挙がることは、たとえ「あて馬」であったとしても、「あのアメリカ海軍が目を付けたのだから、ひとかどのヤツ(艦)であるに違いない」――諸外国からそう認識され、ビジネスにもつながるチャンスをトルコと日本は得たと言えるかもしれません。