自身初の自叙伝「毒愛」を出版した“おとさん”こと小野乙葉(おの・おとは/24)にモデルプレスがインタビュー。Netflixシリーズ「ラヴ上等」シーズン1(2025年)でのブレイクを経て、レイプ被害や海外刑務所での体験までを赤裸々に明かした彼女。壮絶な過去をあえて言葉に残した理由、そして波乱の歩みを振り返り行き着いた「本当に苦しかった瞬間」とは__。過去の歪みから脱却し、等身大の自分を取り戻そうとする彼女の葛藤と本音を紐解く。
◆小野乙葉初の自叙伝「毒愛」
本作は、勉強熱心な家庭に生まれ、中学まで「オール5」の優等生として育ってきた小野のこれまでをつづった自叙伝。高校は特待生として進学校に進むも、母親からの束縛や過干渉にフラストレーションがたまり、“レイプ事件”をきっかけに、非行への道を爆走することとなる。毒親、歌舞伎町、パパ活、整形、香港での逮捕・収監。愛に溺れて、愛を探して、愛に狂う__。歪んだ愛とともに育った人生の記録となっている。また、本作ではトレードマークでもある花魁姿や大胆なランジェリーショットを掲載。さらには、縄を使った“緊縛”カットにも初挑戦している。
小野は、ヤンキーだらけの恋愛リアリティショー「ラヴ上等」に参加し、和彫りに金髪というインパクトのあるビジュアルと、周囲を惑わす“メンヘラっぷり”が一躍話題に。現在は、キャバクラ勤務をしながらインフルエンサーとしても活躍している。
◆小野乙葉、自叙伝執筆の理由は「自己防衛」
― エッセイ、とても興味深く拝見させていただきました。まずは、今回執筆されるに至ったきっかけから教えてください。
小野:メディアでは語りきれなかった私の過去や“もっと悪いことをしているけど言えなかったこと”がたくさんあったんです。でも、参加してから私の好感度がすごく上がってしまっている感じがして。だから「そんなことないよ」「でも、そこから改心したんだよ」という気持ちをみんなに届けたいと思っていました。
「過去の曝け出したくない自分」を破棄して隠さずに出したかったし、これからも活動していくのなら、隠していたとしても明らかになってしまうことだと思うので、自己防衛という意味でも自分から曝けだそうと思いました。そう考えたら「まだ自己防衛してしまうくらい弱いんだな」とは思うのですが…。
― 「曝け出すことで楽になれた」とつづられていましたが、心が軽くなったと実感された瞬間はどのような時でしたか?
小野:私は逮捕された時に初めて「悪いことをしていた」と気づいたんです。それまでは自覚がないまま悪事を働いていたので、逮捕されて「もう親の言う通り、いい子にしなくてもいいんだ」と分かった瞬間はすごく気が楽になりました。そして、この本を執筆する中で過去の親との因縁などを昇華して、「自分は今こういう人なんだ」と改めて認識できた時に、心が軽くなったと実感しました。
― 「曝け出すことへの怖さ」はありましたか?
小野:「曝け出す怖さ」というより、隠し事をするのがあまり得意ではなくて。隠し事をするくらいだったら自分が悪者になってでも本心を言いたいタイプなので、そこへの恐怖心はなかったです。ただ、この本1冊丸ごと、親には言っていないことを書いているので「親が見てどう思うのかな」というのが今は一番不安です。
― まだご両親からの感想はお聞きしていないんですね。
小野:親には本を出すことも言っていないので、(本を)見てもいないです。私の芸能活動自体も「見ないよ」と事前に言われています。だから、いつか親に見せられるものを書いたり作ったりするのが今後の目標です。
◆小野乙葉、香港での刑務所生活振り返る
― 香港で財布を紛失し現地で働こうとした結果、留置所や刑務所へ行くことになったというお話が印象的でした。日本とは大きく異なる環境の中で、特に驚いたことはありますか?
小野:たまたまデモがあった時期だったので、そのせいで捕まっている女の子が結構多かったんですよね。その頃の香港は「自由が欲しい」「言論の自由を」ということを、酔っ払って言ったとしても捕まってしまう時代だったんです。だから、留置所や刑務所にいたのは日本にいたら捕まらなかったはずの子がほとんどで、頭が良い子や自分から発言したいような女の子、学歴のある子たちもいました。そういう子たちから学ぶことはすごく多かったです。
― 留置所での過酷な体験もつづられていましたが、当時は周囲の方と言葉を交わすような機会や、やり取りはあったのでしょうか?
小野:私はある程度英語が喋れたので、英語で「何か欲しい」「あれが欲しい」と会話ができたのですが、そこにいたロシア人の子は英語が話せなくて、ロシア語を分かってくれる人もいなくて言葉を伝えられないから泣き叫んでいて大変そうでした。
― 刑務所ではいかがでしたか?
小野:私は少年刑務所だったので、恋愛話などマイルドな会話をよくしていました。シャバ(一般社会)にいる彼氏との手紙のやり取りを相談されて「こんな手紙を送ったら私メンヘラみたいかな?」と言われたこともありました(笑)。会話内容は意外と普通です。逮捕されている子たちは悪い人なのか、と考えると「悪い人ではないよな」と思います。
私がいた刑務所は、貞操観念が少しズレている人たちに対して「正しい道に行こう」と導くような場所で、“ちゃんと反省する”というよりかは“学び直す”という環境でした。プラスな雰囲気があって、どよんとしている子は少なかったかもしれないですね。
― エッセイを拝読している限り、すごく厳しい環境だったのかと思っていました。
小野:物理的にはそうですね。剪定バサミのようなもので髪の毛をすごく短く切られたり、刑務所に入ってからはプラスチックのベッドとブランケット2枚だけで寝ていたり。コンクリートしかない状態だから座るのも痛いし、寒いし、ブランケットも、毛布のように身体の上にかけるか、下に敷いて敷布団のようにするか悩んで、みんなで「どうしよう」と話していました。
◆小野乙葉、きつい時期は「今」
― “レイプ事件”など辛い経験もつづられていましたが、これまでの道のりを振り返って「あの時期が一番苦しかった」「この出来事が特に辛かった」と感じることがあれば教えてください。
小野:レイプされたことが大きなターニングポイントで、そこから貞操観念がおかしくなって淡々と売春やパパ活を始めたのですが、当時はそれを苦だと思っていなかったんです。「殺されながらそういうことをされるくらいなら、お金をもらった方がいいし、むしろお金を支払ってくれるなんてめちゃくちゃ良い人じゃん!」という価値観になってしまっていました。だからこそ、そこからの脱却はすごく難しかったし、正しい恋愛の仕方や社会的な常識に縛られている今がきついです。
「ちゃんと自分は正しい人に戻れているんだな」という嬉しさもありますが、影響力も持ってしまったので「変なことをSNSに載せてはいけない」「悪い影響力にならないように」というところはすごく気をつけています。だから、ちょっとだけSNSは億劫になってしまっています。
― 「常識に縛られている今がきつい」とのことですが、そうした苦しさや葛藤と向き合う中で、ご自身の心を保つ拠り所にされていたものは何でしたか?
小野:結局、拠り所は異性になってしまうのですが…アイドルが好きだったこともあって、手の届かない異性だったとしても「私がこの人の隣に並ぶにはどんな女性だったらあの人に見合うようになるんだろう」「あの人に見合うように頑張ろう」と思って頑張っていました。
― 過去を振り返る中で「自分ってこんな一面もあったんだ」と気づいた点はありましたか?
小野:私は親のことを「毒親」と言っていたのですが、思い返せば「私の方が親にとって毒だったんじゃないかな」と思うタイミングもあって。親は私に全然期待をしていないし、華々しく生きてほしいわけではなくて「ちゃんと正しい道に行ってほしい」というのがママの意向だったんです。親がこういう風に育ててくれたからこそ優しい気持ちも持ち合わせた性格にはなったけれど、そのせいで他のことができなくなってしまったり、他責思考になってしまったりするのは因果応報なのかなとすごく考えさせられました。
★後編では、SNSで反響を呼んだ夜職への警鐘と「そんな綺麗な世界じゃない」と伝えるリアルな想い、そして、未来へ進む原動力となっている母親への切実な想いを語ってもらった。(modelpress編集部)
◆小野乙葉(おの・おとは)プロフィール
2002年8月24日生まれ。静岡県出身。「ラヴ上等」シーズン1に参加し、一躍話題に。現在は、キャバクラ勤務をしながらインフルエンサーとしても活躍している。