武装は30mm機関砲のみ!? 海自の新艦種「さくら型哨戒艦」ほぼ完成の姿を捉えた! 就役はいつ?

好業績迎える日本の尖った業界

海上自衛隊の新艦種、哨戒艦の1番艦「さくら」の公試がスタートしました。乗員わずか30名という究極の省人化を実現し、武装を最小限に抑えつつ小型UAVを搭載する、新たな海の守り手の全貌に迫ります。

姿を現した新艦種「さくら」の正体

 海上自衛隊の新艦種である哨戒艦の1番艦「さくら」が、2026年8月下旬より公試を始めています。

 武装やレーダーなどを取り付け、ほぼ完成形となった「さくら」を、このたび捉えたので、どのような艦なのか改めて見てみましょう。

 筆者(深水千翔:海事ライター)が撮影したのは、2026年9月4日、第2回公試を終えて、建造元のJMU(ジャパンマリンユナイテッド)横浜事業所磯子工場に戻ってきた際です。

 そもそも「さくら」は、2025年11月13日、2番艦「たちばな」とともに命名・進水しました。艦番号は901(同型「たちばな」は902)、艦種記号には「Offshore Patrol Vessel」を略した「OPV」が用いられます。

 哨戒艦はJMUを主契約者に、三菱重工業を下請負者として建造が進められています。中国など周辺国の海洋活動の急速な拡大と活発化が続く中、日本周辺海域の警戒監視を平時から長期間にわたって行い続ける艦艇として導入が決まりました。

 主任務である洋上での警戒監視の特性を踏まえて、長期にわたる滞洋性を確保するとともに、乗組員数は約30人という少人数での運用を可能とするため、自動化・省人化を図っているのが特徴的です。

 海上幕僚監部の広報担当者は「商船で使われている技術を盛り込み、自動で操舵できる機能を導入している」と説明します。

武装は機銃のみ!? 省人化と無人機運用の全貌

 さくら型哨戒艦の全長は95m、最大幅12m。基準排水量は1900トンで、機関はディーゼル電気・ディーゼル複合推進方式(CODLAD形式)を採用し、ディーゼル主機と推進電動装置をそれぞれ2基ずつ搭載しました。速力は約25ノット(約46.3km/h)以上を発揮できるようになっています。

 ただ、警戒監視という用途に限定することから、固定の武装は30mm機関砲1基のみ。このほかに後日装備として小型UAV(無人航空機)や電磁波情報収集器材を搭載することを予定しています。UAVやヘリコプターの発着艦に対応した多目的甲板が艦尾側に配置されているほか、艦尾揚収装置や多目的格納庫、多目的クレーンも備えます。また、7.5mの複合型作業艇を2隻搭載します。

「多目的甲板では海上自衛隊が運用するSH-60K/LやMCH-101の発着艦は可能だが、ヘリコプターのローターをたたみ、格納庫に入れて行動することはできない。格納庫ではUAVの整備などを行うが、『多目的』と書いてあるとおり、それ以外の使い道もあるかと思う」(海幕広報室)

 哨戒艦に搭載される小型UAVは米シールドAI (Shield AI)が開発した垂直離着陸(VTOL)型の無人航空機システム(UAS)「V-BAT」です。同機はわずか4.6m×4.6mという狭いエリアからでも発着可能という特徴を持ち、格納時はピックアップトラックやUH-60の荷台に収まってしまうほど、コンパクトになります。こうした設計によって、2人チームで30分以内に展開することが可能。EO/IR(電子光学・赤外線)ペイロード搭載時の最大飛行時間は12時間で、最大航続距離180kmとなっています。

 「V-BAT」は、水上艦艇の警戒監視・情報収集能力を向上させる「艦載型UAV(小型)」の名で6機が取得されています。今年(2026年)6月には、護衛艦「くまの」での洋上飛行訓練の様子が報道公開されています。

タグボート不要! 護衛艦とミサイル艇を代替する新任務

 また、さくら型哨戒艦には、自衛艦としては珍しく艦首喫水線下にバウスラスターが装備されています。これは、タグボートの力を借りずに出入港を可能にするためのもので、これにより十分な設備がない港でも接岸でき、運用の幅を広げています。これに加えて波の荒い外洋で行動することを前提としているため、横揺れを抑えるためアクティブ方式の特殊な減揺装置も採用されています。

 海幕広報室は「護衛艦(DE)とミサイル艇の役割を併せ持つという感じになる」と説明します。

「ミサイルのような装備はないので、基本的には平素の警戒監視を主任務とすることに特化した仕様になっている。これまでそういった任務をDE(沿岸防衛用の小型護衛艦)やミサイル艇が担いがちだったので、それを代替していくことになる。あぶくま型DEの乗員が120名なのに対して、さくら型は30名になるのでだいぶ少ない。自動航行などのシステムによる省人化もあるが、純粋に武器がないのが大きい。搭載武装が最低限というのは、それに関わる整備員がいらないということであり、そういったオペレーションに関する人数が減っているのが大きい要素と言えるだろう」(海幕広報室)

 2022年末に策定された現行の「防衛力整備計画」において、さくら型哨戒艦は約10年で12隻を整備する方針が掲げられています。ちなみに、さくら型は3番艦「ひのき」、4番艦「すぎ」まで進水しているほか、2026年度予算で5番艦と6番艦の建造が決まっています。2番艦「たちばな」の公試も間もなく行われると見られます。

 なお、このたび姿を捉えた「さくら」の就役は2027年1月、「たちばな」は同2月に予定されています。配備先は、神奈川県の横須賀基地に司令部を置く水上艦隊隷下の哨戒防備群になる模様です。