“部隊を運ぶ”概念を変えた「オスプレイ」――米海兵隊で20年越しの調達が完了 今後の20年で真価が決まる?

好業績迎える日本の尖った業界

アメリカ海兵隊はMV-22B「オスプレイ」の調達を終了。今後は戦力の維持と発展の段階へ!

海兵隊の「部隊を運ぶ」概念を変えた

 2026年7月28日、航空戦力史に一つの大きな節目が刻まれました。海兵隊は最後のMV-22B「オスプレイ」を受領し、計画されていた359機すべての調達を完了したのです。

 2000年代から続いた長期調達計画は、ここに至って「機体を導入する段階」から「導入した戦力をいかに維持し、発展させるか」という新たな局面へ移りました。

 MV-22Bが海兵隊航空に与えた変化は、機種更新という言葉だけでは捉えきれません。最大の特徴は、ヘリコプターと固定翼輸送機の間に存在していた速度と航続距離の差を、「ティルトローター」という方式によって埋めたことにあります。ローターを上方へ向ければ垂直離着陸やホバリングが可能であり、飛行中にローターを前方へ転換すれば、ターボプロップ機に近い高速巡航へ移行できます。

 これは海兵隊の「部隊を運ぶ距離」の概念を変えました。

 前任機であるCH-46E「シーナイト」が担ってきた強襲輸送では、艦艇から上陸地点、あるいは前線近傍までを比較的短距離で結ぶことが基本でした。それに対しMV-22Bは、強襲揚陸艦から発進して広い海域を横断し、敵の防御を迂回した地点等、有利な場所へ部隊や物資を送り込む能力を獲得しています。

海兵隊は「オスプレイ」を2055年まで使い続ける

 2007年に初期運用能力を獲得して以降、MV-22Bは実戦において輸送、補給、医療搬送、人道支援など多様な任務に投入されてきました。海兵隊によれば、同機はこれまでに68万6500時間以上を飛行し、114回の作戦展開を経験しました。

 現在では海兵隊の回転翼航空戦力の約75%を占めるまでに拡大しており、これは海兵隊がMV-22Bの存在を前提として組み替えられたことを示しています。

 これまでのMV-22Bの歴史は成功譚だけで描くことはできません。開発から実用化に至る過程では、事故、機械的信頼性、安全性をめぐる批判が相次ぎ、実用化に難しさを抱えてきた事実は消えません。それでも海兵隊はMV-22Bを手放すのではなく、2055年までの運用を視野に入れ、機体の近代化と整備性向上を進めてきました。

 今後の焦点は、老朽化する機体の稼働率維持、整備時間を短縮するための改善、そして安全性確保によるMV-22B固有の価値の向上などに移ります。

海空軍向けの調達もまもなく終了

 海兵隊向けMV-22Bの調達が完了した一方で、V-22ファミリーは、海軍の空母艦上輸送を担うCMV-22B(46機)、空軍特殊作戦軍のCV-22B(53機)の生産が残されています。

 なお日本の陸上自衛隊もV-22を導入しており、17機をもって調達を完了しています。残された受注数は海空軍向けが十数機であると考えられ、量産はいよいよ最終局面へ入りつつあります。

 既に配備から20年が経過しますが、「オスプレイ」の評価はこれからが本番です。残された数十年をどのような戦場で、どれほど高い可用性を保ちながら飛び続けられるか。その問いに対する答えこそが、「オスプレイ」という異色の航空機が軍事航空史に残す最終的な価値を決めることになるでしょう。

 また、MV-22Bの後継機に向けた検討は始まっており、未だ具体的な開発計画には至っていませんが「次世代強襲支援機(NGAS)」と命名されています。