政権維持、内閣改造カギ=「ギア上げねば失速」―牧原出東大教授に聞く

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 高市早苗首相(自民党総裁)は9月中旬にも内閣改造・党役員人事に臨む。就任後初めてとなる改造人事のポイントは何か。間もなく2年目に入る政権運営の評価と併せ、東京大学の牧原出教授(政治学)に聞いた。
 ―首相の政権運営はどうか。
 今までの首相にない政権運営だ。特徴は二つある。一つはチームを作らないこと。一人で(資料を)読み、一人で考え、一人で文章を作り、一人で発信するワンパーソンポリティクスだ。もう一つは練りに練った一方的情報発信。「言いたいことを言う政治」だ。見事に実現しているが、(発信は)私たちが聞きたいことでは全くなかったりする。
 ―スケジュール管理の問題を指摘する声もある。
 第2次安倍政権的な世界では全くない。だから、ドタバタになる。安倍政権は官邸官僚が(閣僚を)縛ったが、首相は個々の閣僚との関係(で進めるやり方)だ。うまくやれば英国型のキャビネット・ガバメントに近い方向になり得るが、首相は多分、閣僚に「ちゃんとやりなさいよ」などと一方的に言うだけで、議論になっていない。
 ―内閣支持率はいまだに高水準だ。
 憲政史上初の女性首相であり、2世議員ではない。何か風穴を開けてくれるんじゃないかという期待がある。一方で被災者などの悲しみに寄り添う言葉が出てこないところも見えてきた。外交も全然できない。国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長への米国の制裁などで首相官邸が全然動いていない。
 ―自民党と日本維新の会の連立政権への評価は。
 維新は首相のすっとんきょうなところにドライブをかける。いわゆる混乱要因だが、混乱を鎮めるために自民党に(政治的)資源を割かせる点で、首相にとっては意味がある。混乱しなければ(党との関係で)首相ペースにならない。首相と維新の親和性は高い。
 ―自民と公明党の連立政権とは違う。
 歯切れの良さや突破力で政治を見ると、割と魅力的だ。ただ、公明が持っていた弱者への配慮、弱者救済の視点はない。だから、首相と維新がハモると、特別国会の最終盤のように「副首都」関連法や衆院議員定数削減法案など国民生活に全然関係ないテーマにのめり込む。消費税減税を決めても支持率が上がらないのは、そこを見透かされているからだと思う。
 ―政権人事が迫っている。
 政権発足時は前政権の積み残しもあった。本当はこれが真の意味での高市政権のスタートになるはずだ。改造でギアを上げなければ、政権は失速しかねない。首相はX(旧ツイッター)で実績を説明するが、未来を語っていない。新たな政策の打ち出しがなければ政権は長続きしない。 
〔写真説明〕インタビューに応じる東京大学先端科学技術研究センターの牧原出教授=8月20日、東京都目黒区