高市早苗首相が早ければ16~18日の実施を検討する内閣改造・自民党役員人事で、林芳正総務相の去就が注目されている。林氏は地方行脚を精力的に続けており、来年秋の党総裁選への出馬を視野に入れているのは間違いないとみられているためだ。閣内にとどまれば出馬は難しくなるとの見方があり、首相と林氏の判断が焦点となる。
林氏は5日、鹿児島市で開かれた党鹿児島県連のセミナーで講演。総務省による地方創生の取り組みを説明し、「地域から日本が元気になるように私も全力を尽くす」と強調した。
昨年10月の総務相就任以来、林氏の公務での地方視察は25回。訪れたのは24道府県で、7日には秋田県視察を予定する。視察と併せて地方議員との意見交換なども行っており、党内では総裁選の党員票獲得をにらんだ選挙運動との見方が専らだ。
林氏は昨年の総裁選の際、1回目の投票で首相を上回る72票の国会議員票を獲得した。3位に沈んで決選投票に進めなかったのは党員票を首相の半分余りしか取れなかったからだった。林氏としては、地方を回って党員票を伸ばせば、勝負に持ち込めるとの計算があるとみられている。
林氏は国会議員との関係づくりにも積極的だ。かつて座長を務めた旧岸田派の関係者は「林氏は期別の会食を重ねている」と証言。前回総裁選で旧岸田派の一部が他候補の応援に回った反省があるとみられる。6月には旧二階派を中心としたグループを率いる武田良太元総務相と会食した。
こうした林氏の動きは、来年秋の総裁選で再選を目指す首相にとって「脅威」だ。林氏は消費税減税など政策面で首相と隔たりがあるとされるが、首相周辺は「林氏に要職に残ってもらえるよう努力するのは当たり前だ」と明言。「最後は首相と林氏の直接の話し合いになる」と語る。
首相から要職の打診を受けた場合、応じて政権を支える姿勢を示すか、断って首相から距離を置くか、林氏も決断を迫られる。周辺の一人は「要職を受けて存在感を示すべきだ」と語るが、党内からは「自由な立場で地方を回るのが得策」(幹部)との声も漏れる。「ポストにかかわらず、林氏の出馬の決意は変わらない」(閣僚経験者)との見方もある。
〔写真説明〕自民党鹿児島県連の政経セミナーで講演する林芳正総務相=5日午後、鹿児島市