【ニューデリー時事】ネパールと中国を襲った未曽有の土石流災害は、ネパールで3月に就任した36歳のシャハ首相にとって大きな試練となった。同国での死者・行方不明者は計6300人超。対応を指揮するシャハ氏のSNS一辺倒の情報発信に苦言も出ている。
「災害はまた起きる。常に警戒すべきだ」「皆でこの災害に立ち向かい、安全で明るいネパールを築こう」。シャハ氏は発災から連日、フェイスブックに救難状況や被災者を鼓舞するメッセージを投稿している。半面、被災地を訪問したり、テレビを通じて国民に肉声を届けたりしたことはわずかだ。
政治アナリストのチャンドラ・デブ・バッタ氏は、過去の政府と比べると現政権の対応は素早いと評価しつつ、「必要な時には国民に直接語り掛けることが求められる」と苦言を呈した。首都カトマンズの学生プシュカル・バラティさん(21)も「読み書きができない人にも届くよう、国営テレビに出た方がいい」と話す。
シャハ政権は当初、外国の救助隊受け入れを拒否したと報じられ、批判を浴びた。バッタ氏は、約9000人が犠牲となった2015年の大地震で、各国が支援を通じ自国の影響力拡大を図ったことの二の舞いを避けたかったのではないかと推測する。ネパールは国境を接する中国とインドの間でバランス外交に腐心してきた。
ネパール外務省筋によれば、シャハ氏は土石流の背景にある気候変動への対策を訴えるため、ニューヨークで今月下旬開かれる国連総会一般討論演説に出席する見通し。実現すれば、就任以来初の外遊となる。
〔写真説明〕土石流被災地の視察に訪れたネパールのシャハ首相(右から2人目)=8月27日、中部ヌワコット郡(AFP時事)