フツーの爆弾に“ターボジェット・エンジン”をくっつけて500kmぶっ飛ばす! これぞコスパ最強兵器 さらに進化!?

なぜ?計測器業界に好業績期待

通常の無誘導爆弾を「誘導兵器に変える」JDAM誘導爆弾がさらなる進化を遂げています。滑空翼からエンジンによる自力飛行へ、射程延伸に向けた発展が続いています。

無誘導爆弾を精密誘導兵器に変えた「JDAM」

 アメリカで1990年代に開発され、2000年頃から実戦投入された誘導爆弾が「JDAM(Joint Direct Attack Munition:統合直接打撃弾)」です。航空攻撃の歴史において、JDAMは大きな役割を果たしてきました。

 JDAMは既存の無誘導爆弾にGPSと慣性航法装置による誘導キットを装着することで、比較的低いコストで素早く“精密誘導兵器”へ転換できる仕組みを確立しました。高価な対地ミサイルを大量に用意することなく、既存爆弾を精密誘導兵器として活用できる点こそ、その最大の強みです。

 そのため米軍だけでなく、航空自衛隊を含む多数の同盟・友好国が採用し、「大量投入可能な精密誘導兵器」として航空戦力の質的向上に寄与してきました。

 しかし、JDAMには構造上の限界があります。航空機から投下された後、重力と運動エネルギーを利用して目標へ向かう自由落下兵器であり、投下母機は標的に十分接近しなくてはなりません。そのため敵が地対空ミサイルを配備している場合、脅威に晒されることになります。

滑空翼を備えた「ER」、エンジンを搭載した「LR」

 その欠点を補うべく登場したのが「JDAM ER(Extended Range:射程延長)」滑空爆弾です。折り畳み式の滑空翼を追加し、十分な高度から投下すれば約70kmを飛翔可能です。また、敵の防空網を避けるために発射母機が低空を飛行する場合も、機体を上向きにして放り投げるように投下する「トス爆撃」で飛翔距離を延ばすことができ、従来型JDAMより遠距離からの攻撃を可能にしました。

 ただ、それでもJDAM ER程度の射程では、大型の長距離地対空ミサイルが存在する環境に対して十分とは言い難いのも事実です。そこでボーイングが進めてきたのが、「JDAM LR(Long Range:長射程)」の開発です。

 JDAM LRは翼に加えて推進機関としてTDI-J85小型ターボジェット・エンジンを組み合わせ、滑空爆弾そのものを動力付きの長距離兵器へ変えるのです。推進器を意味する言葉を組み合わせた「パワードJDAM(PJDAM)」とも呼ばれることがあります。

 JDAM LRは500ポンド(227kg)級の爆弾を搭載し、300海里(約556km)以上の射程を実現します。2026年4月には米海軍のF/A-18E/Fによる実証試験が実施され、複数回の試験で200海里(370km)を超える飛翔を実証しました。そして2026年8月5日、米空軍はボーイングと7500万ドル規模の最初の量産契約を締結し、JDAM LRの初期生産に移行する判断を下しました。

既存の基盤の活用により短期間で戦力化

 JDAM LRは実績のあるJDAMと同じ誘導システム及び航空機との接続インターフェースという既存資産が流用できるため、搭載のための特別な改修の必要がありません。ミッションコンピューターのソフトウェアをアップデートするだけで容易に運用可能であり、短期間で実用化することができます。

 最初期型JDAM LRとなる「GBU-75」は500ポンド爆弾に対する誘導キットですが、既存のJDAM同様に1000ポンド(454kg)爆弾、2000ポンド(907kg)爆弾型への対応も考えられ、また爆弾の代わりに燃料タンクを設けた長距離飛行の空中発射デコイ型、海上を封鎖するためのクイックストライク弾頭型の開発案もあります。

 近年、敵の防空圏外から攻撃可能な長射程兵器(スタンドオフ・ウエポン)の価値が高まる一方で、その価格と生産能力が戦時のボトルネックになり得ます。JDAMという既存の基盤を使い、十分な射程を持つ精密誘導兵器を大量に供給する。JDAM LRの狙いはそこにあります。