モナコのスポーツディレクター(SD)を務めるチアゴ・スクーロ氏が、移籍市場最終日に起きた異例の事態を説明した。2日、フランスメディア『Get Football News France』やイギリスメディア『BBC』、同『フットボール・ロンドン』などが伝えている。
今夏の移籍市場で資金調達が必要だったモナコは、市場最終日にアメリカ代表FWフォラリン・バログンを4000万ポンド(約86億円)で売却することでエヴァートンと合意していたものの、メディカルチェックで問題が発生したことで破談の可能性が浮上。そこで、チェルシーからの打診を受けていたセネガル代表MFラミン・カマラを4700万ポンド(約101億円)で売却することで合意した。
カマラはメディカルチェックを通過し、2033年までとなる契約にもサインしていた中で、改めてバログンの移籍交渉が再開されたため、モナコは土壇場で話を白紙に戻し、カマラの移籍を取りやめた。これをモナコは電話ではなく、書面で通知したこともあり、チェルシー側は極めて非プロフェッショナルな行動だとモナコ側に激怒していることが報じられている。
なお、最終的にバログンはエヴァートンのメディカルスタッフの対応に不満を抱き、契約にサインすることを拒否したことで、バログンの移籍も破談に終わり、それまでに選手売却で1億600万ユーロ(約195億円)を確保していたモナコは、今夏にUEFA(欧州サッカー連盟)の財政規定を遵守するために1億5000万ユーロ(約276億円)を捻出する必要性に迫られていたものの、最終日に選手売却をできずに終わっている。
この事態を受け、スクーロ氏は急遽会見を実施。「ラミンについて言えば、今夏にいくつかのクラブから打診があった。我々のメッセージは常に一貫しており、彼を残留させることが最優先事項だった。昨日も、練習後の朝にラミンと直接話をしたが、非常に良好かつ友好的な対話ができ、彼自身も残留を望んでいる様子だった」と移籍が破談に終わったことに不満を持っていると噂されるラミンは問題がないことを明かしつつ、バログンとともにカマラの移籍がどのようにして破談に至ったのかを次のように説明した。
「その日の午後4時の時点では、バロ(バログン)はリヴァプールでメディカルチェックを受けていて、すべては順調に進んでいた。午後7時頃、エヴァートンから連絡があり、バロのメディカルチェックの結果について懸念が示された。しかし、我々の医療スタッフや選手個人の医療スタッフから見れば、その指摘は全く理にかなわないものだった。提示された説明は、選手の将来に懸念を抱かせるようなものでも、それを正当化できるようなものでもなかった」
「そこから両クラブの医療部門間で議論が始まった。他の医師たちを交えて詳細な評価や確認を行うのに、2〜3時間という長い時間を要した。クラブの医師が懸念を表明する場合、こうした状況は通常起こり得ることだ。クラブが画像を他の専門家と共有し、その症例について協議することはごく一般的なことだ」
「一方で、移籍市場最終日によくあることだが、この件はすぐに報道されてしまった。我々に連絡が入ってから30分もしないうちに、『バロがメディカルチェックで不合格になった』というニュースがメディアに出回ったんだ」
「そこでチェルシーが好機と見た。『モナコは資金を必要としている。バロはあそこで苦戦している。よし、行こう。やってみよう』と。これがこの世界の駆け引きであり、そうした動き自体は正当なものだ。何の問題もない。チェルシーは『我々が解決策になれる』と名乗り出てきたわけで、その時点で我々としても協議の扉を開く必要があった」
「我々はラミンを巡ってチェルシーとの交渉を開始した。私自身、直接選手に伝えたし、電話も入れた。いつものように代理人にも連絡し、非常にオープンな形で進めた。ラミンはチェルシーへ移籍するための条件について話し合っていた。同時に、バロに関するメディカルチェックの協議も並行して進んでいた。そして、こちらの時間で夜10時頃、あるいはもう少し早い時間だったかもしれないが、エヴァートンが『よし、問題はない。契約を結ぶ準備はできている』と判断した」
「チェルシーはずっと探りを入れてきていた。『ラミンはどうだ? ラミンはどうなんだ?』と。ここ10日間ずっと彼らと話をしていた。情報が入った時点で、我々はすぐにチェルシーに連絡し、あっち(エヴァートン)との合意に至ったことを伝えた」
「結局ラミンの移籍は成立しなかったが、それもまた正当なプロセスであり、よくあることだ。移籍市場最終日というのは、誰もが期限に追われながら解決策を探るものだ。そうした状況下でのやり取りが、なぜか『モナコが悪者だ』、『モナコは不当だ』といった話にすり替えられてしまう。サッカー界の誰もが公平で善良なのに、モナコだけがそうではないかのように言われる。それが世間の語るストーリーというわけだ」
「我々は改めて、チェルシーとの取引は成立しなかったことを関係者全員に伝えた。そして手続きを進めた。プレミアリーグには、書類作業を完了させるために時間の延長を申請できる仕組みがある。移籍市場が閉まる5分前というタイミングで、モナコ、エヴァートン、そしてバロの間で全ての書類手続きを完了させる段取りになっていた。私自身も契約書にサインし、エヴァートン側もサインを済ませていた」
「しかし土壇場になって、選手がサインしないと決断したんだ。バロの言い分は、『クラブの自分に対する扱いに納得がいかないし、気分が良くない』というものだった。さらに、エヴァートンの医療部門から自分の将来や健康状態について懸念が示されたことも理由だった。実際には何の問題もないが、そうした状況では、ここで契約を結ぶ気にはなれないということだった。結局、我々の移籍市場での動きはこうして幕を閉じることになった」